KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
4ビットで深層学習、
IBMが「小さなAI」考案
Ms Tech | Wellcome Collection
人工知能(AI) Insider Online限定
Tiny four-bit computers are now all you need to train AI

4ビットで深層学習、
IBMが「小さなAI」考案

最近の人工知能(AI)の研究で主流となっている大規模モデルの訓練では、膨大な計算機リソースや電力が必要となる。IBMは、AIモデルのパフォーマンスを大きく落とすことなく、4ビットでAIを訓練できる方法を発表した。 by Karen Hao2020.12.17

深層学習(ディープラーニング)は、エネルギー効率が悪く、大量のエネルギーを消費する。莫大な量のデータと豊富な計算力のリソースを必要とし、電力消費が爆発的に増える。ここ数年間、全体的な研究動向がこの問題を悪化させてきた。数十億個のデータを使って数日間訓練する巨大な規模のモデルが流行しており、この傾向は当分の間、廃れることがないだろう。

新しい方向性を急いで見つけようとしてきた研究者たちもいる。例えば、より少ないデータで訓練可能なアルゴリズムや、そのようなアルゴリズムの実行を高速化できるハードウェアなどだ。そして今、IBMの研究者たちは異なる方法を提案している。彼らのアイデアは、データを表すのに必要なビット数、つまり「1」と「0」の数を減らすというものだ。現在の業界標準である16ビットから、わずか4ビットにするというのだ。

この取り組みは、毎年開催される世界最大級の人工知能(AI)研究カンファレンスである「神経情報処理システム(NeurIPS:Neural Information Processing Systems)」(2020年12月6日 ~12月12日)で発表された。深層学習の訓練速度を7倍以上に高速化し、エネルギー費用を7分の1以下に削減できる可能性があり、スマートフォンをはじめとする小型デバイスで強力な人工知能(AI)モデルを訓練できるようになるかもしれない。実現すれば、個人情報をローカルデバイスに留めておけるようになり、プライバシーが改善される。さらには、豊富なリソースを有する巨大テック企業に属していない研究者たちにとって、深層学習がもっと手の届きやすいものになるだろう。

ビットはどのように機能するのか

コンピューターは「1」と「0」を使って情報を保存するということはおそらく耳にしたことがあるだろう。この情報の基本単位は、ビットとして知られている。ビットが「オン」である時は「1」に相当し、「オフ」の時は「0」になる。言い換えれば、各ビットにはたった2つの情報しか保存できない。

しかし、ビットを繋ぎ合わせると、コード化できる情報量が指数関数的に増大する。2ビットは、2の2乗の組み合わせがあるので、「00」、「01」、「10」、「11」の4つの情報を表せる。4ビットは2の4乗で16個の情報を表すことができ、8ビットは2の8乗、つまり256個の情報を表すことができるといった具合だ。

複数のビットの適切な組み合わせによって、数字や文字、色といったデータの種類、あるいは、足し算や引き算、比較などの操作の種類を表せる。最近のノート型パソコンのほとんどは、32ビット、または64ビットのコンピューターだ。これは、このコンピューターが合計で2の32乗、または2の64乗個の情報しかコード化できないという意味ではない(そうだとしたら非常に貧相なコンピューターだ)。それだけの数のビットからなる複雑性を、各データや個別の操作のコード化に使用できるということなのだ。

4ビットの深層学習

それでは、4ビットの訓練とは何を意味するのだろうか。手始めに、4ビットのコンピューターがあるとしよう。つまり、4ビットの複雑性だ。これについて考えてみる方法は、例えば次の通り …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る