KADOKAWA Technology Review
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Who’s Brave Enough to Be a Test Pilot for Flying Cars?

「求む!飛行車のテストパイロット」は開発順調の証?

飛行車のテストパイロットを、米2社が求人中だ。100年以上は構想されてきた未来の乗り物は、自律操縦とバッテリー性能の向上で実現に近づいている。 by Jamie Condliffe2017.02.17

AeroMobil's flying car, actually flying.
実際に飛行中のエアロモービルの飛行車

どんな製品でも、市販前には慎重な試験が必要だ。飛行車の開発でもっとも苦労しそうなのは、勇者を探すことかもしれない。

空飛ぶ自動車は何十年も空想されてきたが、いま、その実現は非常に具体的な段階にまで煮詰まってきた。たとえばウーバーは昨年、オンデマンドの都市型飛行システムを今後5~10年で構築する計画を本気で策定した。

野心的な計画のようだが、ウーバーだけが個人向け航空輸送手段のアイデアに熱心なわけではない。今週、ドバイの道路運輸庁は都市部周辺の人を乗せて運ぶ一人乗り自律型ドローンを、7月から運航する計画だと発表した。もちろん「飛行車」とはいえない見た目だが、その方向にゆっくりと近づいている。

本物の飛行車を作ろうと奮闘している企業は数多い。ジョビー・アビエーションやeハング、ズィー・エアロ、キティー・ホーク等々があり、最後の2社はグーグルのラリー・ペイジも出資している。エアバス等、大手の航空宇宙企業も飛行車を開発中だという

エアロモービル(AeroMobil )やテラフュージア(Terrafugia)等の企業が展示したのは「運転もできる飛行機(airplanes that can drive)」といったほうがよく「飛行車(flying car)」と呼ぶには大きすぎるし、自動車には見えない。そもそも「飛行車」の製造には明らかに多くの課題がある。道路を走行できて、空中で十分な揚力と推進力があるコンパクトな機体を開発するのは簡単ではないだろう。

とはいえ、いかに荒唐無稽に見えても、飛行車の実現は(非常にゆっくりと)近づいている。求人広告が出たのだ。現在、キティーホークズィー・エアロが、飛行試験のエンジニアを募集中だ。

キティーホークの求人では、職種に望まれる資格として、自家用操縦士の免許を挙げている。また、求人広告の説明によれば、キティーホークは「設計、製造、試験、飛行のPDCAサイクルを急速に繰り返し」たいと説明している。そのため、応募者の理想像は「精力的で、適応性があり、安全性が最重視される状況下で適切な判断ができる、習得の早い人」だという。好意的に見ても、ずいぶん不吉な説明だ。

西イングランド大学(イギリス)のスティーブ・ライト講師(航空電子工学)は、ドバイのドローンについてBBCで「誤操作や故障から回復できるシステムを作れるかが課題です。人を乗せる前に、少なくとも1000時間は無人で飛行するべきでしょう」と説明した。

目玉焼きを作るには卵を割らないといけないように、飛行車を作るには開発段階で必ず何機かは壊すことになるだろう。

(関連記事:BBC, Reuters, “ウーバー、飛行タクシーの10年以内実現を計画,” “Flying Cars Now Seem a Bit Less Ridiculous, but Not Much”)

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クレジット Image courtesy of Aeromobil
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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