フラッシュ2022年11月27日
東北大、てんかん発症時の脳内変化を光ファイバーで解析
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学の研究チームは、てんかん発症時のグリア細胞の変化を光ファイバーで読み取ることに成功した。動物の生体脳の活動を観察する手法として光ファイバーを使用するファイバーフォトメトリー法が開発されているが、光ファイバーを伝わる蛍光には複数の信号が混じり合っており、正しい情報を引き出せなかった。
研究チームは蛍光センサータンパク質をグリア細胞に発現させたマウスを用意。光信号解析の新手法を利用して、グリア細胞内のカルシウム、pH、脳血流量の変化を調べることに成功した。さらに、てんかん発作を繰り返すたびにてんかんが増悪していくのかについても調べた。てんかん発作の発信源の一つである海馬を電気的に刺激してけいれん発作を誘導し、視床下部のグリア細胞の活動や局所血流を光ファイバーを使って計測した。
その結果、電気刺激を与えると視床下部グリア細胞のカルシウムは上昇し、pHはアルカリ化するが、血流はあまり変化しないことが分かった。ただし、海馬への電気刺激を数日にわたって繰り返すと、けいれん発作が増悪していき、グリア細胞はアルカリ化した後に酸性化し、血流量が増加することが分かった。
研究成果は11月25日、ブレイン(Brain)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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