フラッシュ2023年8月22日
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生物工学/医療
半世紀以上を経て不活性X染色体の複製の謎が明らかに=理研など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所、近畿大学、大阪大学の共同研究チームは、哺乳類の雌の「不活性X染色体(遺伝子発現が抑制されたX染色体)」の特徴的なDNA複製制御の解析から、その3次元構造に関する新しい特徴を発見。1960年に見つかった不活性X染色体のS期(増殖中の真核細胞がDNA複製をする期間)後期複製の意義に初めて言及し、染色体構造と遺伝子発現制御の関係を明らかにした。
雌の細胞が持つ2本のX染色体のうち1本は胚発生の初期に不活性化され、不活性X染色体となって遺伝子発現が抑制される。不活性X染色体の複製様式は他の染色体とは異なり、細胞周期のS期後期に複製されるが、その仕組みはよく分かっていなかった。
今回、研究チームは、マウスのES細胞(胚性幹細胞)の分化に伴う不活性X染色体の複製タイミングの変化と3次元構造の変化、不活性X染色体結合たんぱく質「SmcHD1」の役割を検査。その結果、(1)不活性X染色体全域がS期後期に複製されるのは高度に凝縮した染色体構造をよく反映していること、(2)不活性X染色体は一見均一に凝縮しているように見えるが、染色体テリトリー内部に層構造が存在していること、(3)SmcHD1が不活性X染色体の表層領域の不活性化状態、適切な複製タイミング、および3次元構造の維持に必要であることなどを明らかにした。
研究論文は、ネイチャー・ストラクチュアル・アンド・モレキュラー・バイオロジー(Nature Structural and Molecular Biology)のオンライン版に2023年8月10日付けで掲載された。
(中條)
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