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データセンターの電力不足、グーグルは市民から集める仕組み導入へ
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How virtual power plants could provide energy for data centers

データセンターの電力不足、グーグルは市民から集める仕組み導入へ

電力使用を抑える代わりに報酬を受け取り、それが地元データセンターの電力になるとしたら——。グーグルは、市民の機器を束ねるバーチャル発電所(VPP)に出資し、その余剰容量を自社データセンターに充てる契約を結んだ。大手テック企業によるVPP活用の具体例として注目されるが、参加者は集まるか。 by Casey Crownhart2026.06.04

この記事の3つのポイント
  1. グーグルがVPP大手ボルタスと契約し、データセンター向け電力確保に分散型エネルギーリソースを活用する取り組みを開始
  2. 需要柔軟化は送電網の最大負荷問題を解消する有力策だが、AI普及で負荷の即時性が高まりインセンティブ設計が難しい
  3. 過去の研究では金銭報酬があっても参加率が低く、住民の合意形成がVPP拡大の実質的な障壁となる可能性がある
summarized by Claude 3

電力使用量を抑える代わりに報酬を受け取るとしたら、あなたはそれを受け入れるだろうか。さらに、その行為が地元のデータセンターへの電力供給に貢献するとしたら、考えは変わるだろうか。

グーグルは、米国最大の電力送電網におけるバーチャル発電所(VPP)の整備費用を支援する新たな契約を締結した。契約相手は、VPPおよび分散型エネルギーリソース・プラットフォームの大手であるボルタス(Voltus)だ。

ボルタスはバーチャル発電所を構築し、電気自動車(EV)やスマート・サーモスタットといった機器を束ねる形で運用する。参加者には報酬が支払われ、送電網に負荷がかかる時間帯には電力消費を抑制するか、蓄積されたエネルギーを活用する仕組みだ。設備の整備費用はグーグルが負担し、このプロジェクトで生み出される余剰容量は同社の地域内データセンターの運営に充てられる。

これは、大手テクノロジー企業がデータセンターのエネルギー需要を賄うためにVPPを活用した、これまでで最も具体的な事例の一つだ。ただし、こうしたプログラムがどこまで拡大できるのか、また何が限界となるのかについては、依然として疑問が残る。

昨年は、データセンターの柔軟性についての議論が至るところで交わされていた。デューク大学が発表した注目度の高い研究によれば、データセンターが年間約40時間にわたってエネルギー需要を削減することに同意すれば、新たな発電所や送電設備を建設することなく、大量のデータセンター(約100ギガワット相当)を稼働させることができるという。

その根本的な理由は、電力グリッドが平均的なエネルギー使用量ではなく、絶対的な最大値に合わせて設計されているからだ。その最大値とは、猛烈な暑さの7月の夜、誰もがエアコンを全開にし、『ラブ・アイランド(Love Island、恋愛リアリティ番組)』を視聴しながら電子レンジでポップコーンを温めるような状況を指す。データセンターがそうした高負荷の時間帯に電力消費を抑えることに同意すれば、送電網はそれ以外の時間帯に問題なく電力を供給できる。

ここで依然として残る疑問の一つが、インセンティブの問題だ。データセンターにこれを承諾させるにはどうすればよいのか。特にAIの利用が広まった現在、データセンターの負荷は必ずしも柔軟ではない。モデルの訓練は容易に遅延や移行が可能だが、顧客からの需要はより即時性が高い。コンピューティング容量を手放すことは、収益の損失につながりかねない。

規制はこの問題に対して有効なアプローチの一つとなり得る。米国では、送電網が最大負荷に近づいた際に需要を抑制することに同意すれば、新規データセンターを数年早く稼働させることを認める提案がある。また、テキサス州の新しい州法では、大口需要家に対して緊急時にバックアップ電源への切り替えまたは需要の抑制を義務付けている。

もう一つのアプローチは、データセンター事業者が他者の柔軟性に対して費用を負担するというものだ。

ボルタスは9月、データセンターが地域送電網の柔軟性に資金を提供できる新プログラムを発表した。同社はこれを「Bring your own capacity(容量を自ら持ち込む)」と呼んでいる。グーグルは現在、このプログラムを活用する最初の公表顧客となった。

新たな契約のもと、ボルタスはバーチャル発電所への参加に同意した人々に報酬を支払う。この発電所は、米国東海岸の大部分をカバーする送電網であるPJMの一部となる予定だ。同社によれば、毎年最大100メガワットの分散型エネルギーリソースを集約できるといい、2027年に稼働を開始する見込みだ。

グーグルにとって、柔軟性への取り組みはこれが初めてではない。同社は米国各地の電力会社と、自社のエネルギー需要を制限または移行させる契約を結んでおり、これによって送電網の容量を解放することができる。ただし、同社が今年初めに公開したブログ記事で指摘しているように、データセンターが柔軟に対応できる範囲には限界があり、すべての施設が電力需要を削減できるわけではない。

「送電容量の拡大に向けた唯一の解決策というものは存在しません。私たちは、負荷の柔軟化に向けた多様な手段を含め、あらゆる選択肢の探索を続けています」。グーグルのグローバル先進エネルギー責任者であるマイケル・テレルは、本誌の問い合わせに対して電子メールでこう回答した。

ここでも改めてインセンティブの問題が気になる。これらの企業は家庭や企業に柔軟な対応を求めているが、果たして同意が得られるだろうか。

カリフォルニア州での最近の研究では、地域住民がマネージドEV充電への参加にどれほど積極的かを調査した。このプログラムは、EVをいつ充電するかの制御権を手放す代わりに報酬を受け取るというものだ。これも電力需要を平準化し、送電網への負担を軽減する手段の一つだ。

問題は、参加者がほとんど集まらなかったことだ。経済的なインセンティブがない場合、マネージド充電に登録したEVオーナーはわずか1%にとどまった。月額40ドル(電気代の約15%相当)の報酬を提示しても、登録率は4.6%にすぎなかった。

これはグーグルがボルタスと協力している地域とは異なる状況・地域での話だ(なお、両社は参加者への報酬額を公表していないが、この種のプロジェクトにおいて参加率を左右する最大の要因となることは明らかだ)。

しかしこの研究は、金銭的な報酬があっても、人々が必ずしも電力需要の制御権を手放す機会に飛びつくわけではないことを示している。さらに、ギャラップ(Gallup)の最近の世論調査によれば、米国人の約70%が自分の地域へのAIデータセンターの設置に反対していることも、無関係とは言えないだろう。

柔軟性の確保は理論上は優れたアイデアであり、こうした資金調達型VPPはエネルギー需要を満たすための即効性のある手段となり得る。しかし、アイデアから実装へと移行するにあたって、試験運用が意図した通りに機能するかどうかを見届けることは、非常に興味深い課題となるだろう。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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