フラッシュ2023年10月6日
-
気候変動/エネルギー
二酸化炭素を活物質とするレドックスフロー電池=京大・産総研
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学と産業技術総合研究所(産総研)の研究グループは、二酸化炭素を活物質とするレドックスフロー電池の開発に成功した。レドックスフロー電池は再生可能エネルギー導入時に送電網を安定させる定置型蓄電池として期待が集まっているが、活物質として可逆的に酸化還元する金属イオンや有機分子しか使えないため、コスト低減やエネルギー密度向上に課題があった。
今回の研究では、産総研が開発したイリジウム触媒を利用して、これまでは利用できなかった化合物を酸化還元させることで、レドックスフロー電池の活物質として利用することを着想。モデル化合物には安定かつシンプルな化合物の代表である二酸化炭素を選んだ。
研究グループはイリジウム触媒を介した二酸化炭素とギ酸をアノード(負極)、2価と3価のマンガンをカソード(正極)に採用したレドックスフロー電池を構築し、その充放電に成功した。この電池では、充電時にアノードで触媒を介して二酸化炭素がギ酸塩に還元され、カソードではマンガンが2価から3価に酸化される。放電時はアノードで触媒を介してギ酸塩が二酸化炭素に酸化され、カソードではマンガンが3価から2価に還元される。
研究グループがこの電池の触媒構造や充放電条件を調整したところ、少なくとも50回の充放電が可能になったという。電池性能を示すクーロン効率は安定して90%を超え、最大で1.5AhL-1の比放電容量を記録した。
研究成果は8月31日、アンゲヴァンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition)にオンライン掲載された。研究グループは今回の研究によって、これまで活物質として利用できなかった化合物でも、触媒を利用することで活物質として利用できる可能性を示し、新しい活物質開発の余地を広げたとしている。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- How much hydrogen awaits us underground? 地下に眠る数兆トン、天然水素は本当に「宝の山」なのか
- Promotion AI White Paper 2026 松尾・岩澤研協力『AI白書2026』発売、サブスク版も開始
- The next big thing in hydrogen could be underground 足元に眠る天然水素、21世紀の「ゴールドラッシュ」が始まった?
- What’s behind this summer’s heat, and why 2027 could be worse 記録ずくめの猛暑の夏、しかし本番は来年かもしれない
- Scientists just created female clones of male mice オスのマウスからメス作製、日本チームが遺伝子編集で性逆転に成功
