「米国産、十分ペイできる」
太陽光大手メーカーが語った
生産回帰の勝算と課題
中国が圧倒的シェアを占める太陽光パネルの生産を米国に移す動きが現実化してきた。大手メーカー、カナディアン・ソーラーの創業者は、米インフレ抑制法のインセンティブは、製造コストのギャップを埋めるのに十分だという。 by Zeyi Yang2024.04.26
人々が目にする太陽光パネルの部品の大半は、おそらく中国製だ。米国がこのテクノロジーを発明し、かつては生産を支配していた。だがこの20年で、政府の助成金やコストの低さを理由に太陽光パネルの製造サプライチェーンの大半が中国に集中することになった。中国は近いうちに、世界の太陽光製造力の80%以上を占めることになる。
だが、米国政府はそれを変えようとしている。政府は高額な輸入関税と手厚い国内税額控除を用いて、米国に拠点を戻して工場を建設したいと考えている企業向けに、米国での太陽光パネル製造コストに十分な競争力を持たせようと試みている。国際エネルギー機関(IEA)は2027年までに太陽光エネルギーが天然ガスと石炭を抜いて世界最大の電力源になると予測しており、すでに毎年3000億ドルの投資を呼び込む市場が形成されている。
米国が成功する可能性について理解するため、MITテクノロジーレビューはショーン・クーに話を聞いた。世界有数の規模を誇る、最も長い歴史を持つ太陽光製造企業の一つであるカナディアン・ソーラー(Canadian Solar)の創業者兼会長であるクーは、この28年間で太陽光パネルに対する需要が変化するサイクルを繰り返し目の当たりにしてきた。
数十年にわたり、その製造の大部分をアジアで行なってきたカナディアン・ソーラーは、太陽光産業復活への真のチャンスを見出し、軸足を米国に戻そうとしている。その要因の中心となっているのが、2022年に可決された米インフレ抑制法(IRA)だ。この法案によってもたらされたインセンティブは、米国でのより高い製造コストを相殺するのに十分だとクー会長は話す。この産業政策が企業を呼び込み続けられるだけの安定したものであることが示されれば、米国の太陽光製造力は2〜3年で大きく成長する可能性があると同会長は考えている。
中国からの移転へ追い込む関税
太陽光パネルの製造には、いくつかの重要なステップがある。まずシリコンが精製され、そこから生まれた多結晶シリコンがウェハーへと成形・スライスされる。ウェハーはエッチングやコーティングといった手法で処理されて太陽電池になり、最終的にそれらの電池を接続し、組み立てることで太陽光モジュールが出来上がる。
この10年で中国はこれらステップのほぼすべてを支配するようになった。そこには安価な労働コスト、豊富な熟練労働者の供給、アクセスしやすい必要な原材料など複数の要因がある。こうした要因により、中国製 …
- 人気の記事ランキング
-
- This scientist rewarmed and studied pieces of his friend’s cryopreserved brain 10年冷凍保存の脳は「驚くほど良好」——蘇生は「まったく別の話」
- Future AI chips could be built on glass AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ
- What do new nuclear reactors mean for waste? 新型原子炉が続々登場、核廃棄物管理の「手引き」は書き直せるか
- The Pentagon is planning for AI companies to train on classified data, defense official says 【独自】米国防総省、軍事機密データでAIモデルの訓練を計画