安全性は大丈夫? 米国で「バルコニー発電」がブーム
ベランダやバルコニーに設置できる一般家庭向け太陽光発電システムが、米国でブームになっている。ユタ州が2025年末に認可法を制定し、20数州が検討中だ。しかし安全認証が追いついておらず、現時点で完全に認証されたシステムは1つも存在しない。 by Casey Crownhart2026.05.12
- この記事の3つのポイント
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- 米国では20数州がバルコニー・ソーラーを合法化する法整備を進めており、ユタ州が先行して接続契約要件を撤廃した
- 回路過負荷・GFCI誤作動・プラグ帯電という3つの安全リスクへの対処としてUL 3700規格が2026年1月に策定された
- 完全認証済み製品がまだ存在せず、専用コンセント設置に電気技師が必要なため「完全DIY化」には至っていない
米国の数十の州が、「バルコニー・ソーラー」とも呼ばれるプラグイン式太陽光発電システムの設置を認める法律の制定を検討している。これらの小型アレイは設置が簡単で、ほとんどあるいはまったく手間がかからず、二酸化炭素排出量の削減や電気代の節約に貢献できる可能性がある。
バルコニー・ソーラーはすでに欧州で普及している。支持者たちはこのシステムが賃貸住宅の入居者を含む米国のより多くの人々にとって太陽光発電をより身近なものにできると主張している。しかし普及が進むにつれ、バルコニー・ソーラーが家庭内の既存の電気設備とどのように連携するか、安全上の懸念があると警告する専門家も出てきている。
今回は、バルコニー・ソーラーとは何か、なぜ独自性があるのか、そして新たな試験要件が米国におけるこの技術の普及にどのような影響を与えるのか、見ていこう。
プラグイン式太陽光発電システムは設置が簡単になるよう設計されている。多くの場合、電気技師や専門作業員をまったく必要としない。サイズが小さく、既存のコンセントに差し込むだけで使えるものも多い。
ドイツでは100万台を超えるバルコニー・ソーラーシステムが設置されている。一般的なサイズは約2平方メートルで、最大800ワットの電力を発電できる。これは標準的な電子レンジを動かすのに十分な電力量だ。
今、このプラグイン式太陽光発電の波が米国にも押し寄せている。多くの米国人がすでに電力会社の許可なくDIYでバルコニー・ソーラーを設置しており、これはある種の規制上のグレーゾーンとなっている。2025年末、ユタ州はバルコニー・ソーラー・システムの設置・使用を明示的に認める法律を制定した最初の州となった。現在、他の20数州でも同様の法律の制定が検討されている。
一般的に、電力会社は送電網に電力を供給する大型の太陽光パネルアレイを接続する前に、ユーザーに接続契約の締結を求める。手数料や許可申請が必要な場合もあり、全体として費用と時間のかかるプロセスとなっている。
ユタ州の法律は、出力上限が低く、国家試験機関の認証を受けたパネルについては接続契約の要件を撤廃した(ニューヨーク州を含む他の州で検討中の法案にも同様の要件が含まれている)。パネルの発電量が非常に少なく、家庭内の電力需要を賄うために使われ、送電網に送り返されることはほぼないという考え方から、同じ要件を適用すべきではないとされている。
認証に関しては、2026年1月に国家試験・認証機関のULソリューションズ(UL Solutions)がUL 3700を公開した。これはバルコニー・ソーラーシステムを認証し、安全性を確保するための試験プロトコルだ。
ULソリューションズでエネルギー・産業オートメーション部門の主任エンジニアリングマネージャーを務めるジョセフ・バブロによると、これらのプラグイン式太陽光発電システムには対処すべき安全上の主な懸念事項が3つあるという。第一に、回路の過負荷の可能性だ。一般的に電気回路にはサーキットブレーカーが設置されており、必要に応じてトリップして電流を遮断できる。しかし太陽光パネルが回路に余分な電力を供給している場合、従来のブレーカーでは過負荷に対応できないことがある。過負荷状態が続くと、機器が損傷したり、最悪の場合火災が発生したりする恐れがある。
第二に、これらの小型システムは通常、住宅の外側に設置されるが、屋外用電源コンセントには一般的に漏電遮断器(GFCI)が設置されている。基本的に、コンセントやその周辺が濡れた場合、感電を防ぐためにシャットダウンする仕組みだ。しかし太陽光パネルからコンセントに電力が逆流している場合、多くのGFCIシステムが正常に機能しない可能性がある。
第三に、接触安全性の問題がある。プラグがコンセントから抜けた場合、プラグの刃には短時間ながら電力が流れ続けることがある。パネルに日光が当たっている場合、その刃は通常よりも長い時間にわたって帯電状態になる可能性がある。
ULソリューションズの新しい試験フレームワークは、これらの懸念事項に対処することを目的としている。主要な推奨事項の一つは、プラグイン式太陽光パネルには専用に設計された特殊なコンセントを使用すべきというものだ。その接続部およびパネル内に組み込まれた安全対策により、パネルの安全性が確保される。
特殊なコンセントが必要となるため、現時点では太陽光パネルアレイを接続したい人は、このプロトコルに準拠するために電気技師を呼んで配線を更新してもらう必要があるだろうとバブロは言う。「『電気技師不要、許可申請不要』と言いたい気持ちはわかりますが、まだそこには至っていません」。
現在、誰でも太陽光パネルやインバーターなどの製品を購入できる。これらの中には独自のUL部品認証を取得しているものもあり、それらを組み合わせて使用することができる。(例えばインバーターはUL 1741の対象となっている。)
しかし最高水準は安全要件を満たしたシステム全体を持つことであり、それは新しい規格に準拠することを意味するとバブロは言う。2026年5月上旬時点では、ULソリューションズによって完全に認証されたプラグイン式太陽光発電システムは存在しない。また、認証審査中のシステムがあるかどうかについても、バブロは情報を開示できないと述べた。
新たな認証要件があるとはいえ、バブロはプラグイン式太陽光発電がより多くの人々にこの技術へのアクセスを提供する可能性を依然として持っていると考えている。「うまく機能させる方法はあります。ただ、安全に機能させたいのです」と言う。
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- ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
- MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。