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核廃棄物は「地上ウラン鉱山」、レーザー濃縮で再生を狙う
arah Rogers/MIT Technology Review | Getty Images
How lasers could help provide fuel for nuclear reactors

核廃棄物は「地上ウラン鉱山」、レーザー濃縮で再生を狙う

米ケンタッキー州の閉鎖された核濃縮施設には、微量のウランを含む最大20万トンの廃棄物が残る。グローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)は、レーザー濃縮でこれを天然ウランと同じ約0.7%まで濃縮し、燃料のサプライチェーンに戻す計画だ。商業規模での実証はこれからだが、濃縮ウランの代替供給源として浮上している。 by Casey Crownhart2026.07.30

この記事の3つのポイント
  1. レーザー濃縮技術を用いてウラン廃棄物を再生・濃縮する企業が米国で実用化に向け前進している
  2. ロシアへの依存脱却を背景に核燃料の需給ギャップが拡大し、新濃縮技術の商機が急速に高まっている
  3. コスト優位性は期待されるが、商業規模での実証はこれからであり、技術的不確実性は残る
summarized by Claude 3

米ケンタッキー州の小さな町パデューカの郊外に、大量のウランが眠っている。今は閉鎖された核濃縮施設から出た廃棄物を詰めた、数千本の貯蔵シリンダーの中に収められているのだ。レーザーを使えば、そのウランを回収できるかもしれない。

グローバル・レーザー・エンリッチメント(Global Laser Enrichment、GLE)という企業が、レーザー濃縮と呼ばれる新技術を使ってこの古い廃棄物の再処理を目指している。この技術は従来の濃縮方法よりも効率的で、廃棄物を再生し、天然採掘原料と同じ濃度の原料を生産できる可能性がある。さらに将来的には、先進炉で使用されるものを含む核燃料用の材料製造にもレーザー濃縮を活用できると同社は主張している。

現在、原子力発電は世界の電力の約9%を供給している。米国や中国などの主要大国が次世代技術を含む新型炉の建設を検討する中、その割合は増加する可能性がある。燃料を調達するための新たな低コスト手法は、こうした原子力プロジェクトを軌道に乗せ続けるうえで役立つだろう。

天然ウランは主にウラン238(99%超)とウラン235(約0.7%)で構成されている。ウラン235は核分裂性の同位体であり、低エネルギーの遅い中性子が当たると連鎖反応を持続させて電力を生み出すことができる。そのため、原子炉では一般に地中から採掘したものよりも高い濃度のU-235を含む材料を使用する。現在の従来型原子炉は通常、U-235が約5%の低濃縮ウランを使用するが、一部の先進炉設計ではU-235が最大20%の燃料を使用する。

現在、ウラン濃縮に使われる主流技術は遠心分離機だ。この装置はウランを含む材料を超高速で回転させ、重い材料(U-238を含む)を外縁に追いやり、軽い材料(U-235を含む)を中心付近に留める仕組みだ。(マスタードのボトルを振って最後の一滴を出そうとしたことがあれば、遠心分離機の基本原理と同じことをしたことになる。)こうしてU-235の濃度が高まった材料が、核燃料の製造に使われる。

一方、レーザー濃縮は、すべての分子がその物質固有の方法で原子スケールで振動・回転するという性質を利用する。異なるウラン同位体でさえ、それぞれ固有の「指紋」を持っている。

レーザーは非常に精密であるため、特定の物質、例えばU-235を含む分子だけを標的にできる。混合物にレーザーを照射すると、狙った物質だけを選択的に励起し、わずかにエネルギーを与えられる。これによってその物質の挙動が変化し、化学的または物理的な手法を用いて目的の物質を分離しやすくなる。

研究や産業の場では、幅広い分離手法が開発されてきた。U-235原子を電気的に帯電させ、静電場や磁場で移動させることを目指す方法や、材料の化学反応の仕方を変える方法もある。

GLEの具体的な技術の詳細は機密扱いであり、同社の担当者はプロセスの仕組みについての説明を断った。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の核科学・工学部門で主任研究科学者を務めるチャールズ・フォースバーグ博士によれば、ウラン濃縮へのレーザー利用への関心は数十年前から続いているという。

しかし、初期のレーザーはメンテナンスに手間がかかり、不安定で操作が難しい傾向があった。その後、レーザーは劇的に改善され、初期の研究時代と比べてレーザー濃縮はより魅力的な選択肢となっている。

技術的な改善以上に、最近の地政学的な変化が新たな濃縮技術を後押しする可能性がある。ロシアは世界最大のウラン濃縮エコシステムを持ち、歴史的に市場を支配してきた。「ロシアが濃縮ウランを世界中に大量供給している間は、西側諸国は誰も新たな濃縮施設を建設しようとしなかった」とフォースバーグ博士は言う。

しかし、ウクライナ戦争の開始以降、米国や英国を含む各国がロシア産ウランの輸入制限や禁止に向けた措置を講じている。これにより、新技術を採用するものを含め、新たな濃縮事業を立ち上げる企業への扉が開かれたとフォースバーグ博士は言う。

各国がウランの供給源をロシア以外に求める中、燃料需要は増加している。「需給ギャップはどんどん拡大しており、この技術はまさにその中心にあります」と、米国でレーザー濃縮能力の構築を目指す企業の一つ、LISテクノロジーズ(LIS Technologies)のクリスト・リーベンバーグ社長は言う。

2023年に設立されたLISテクノロジーズは最近、テネシー州オークリッジに約81ヘクタールの敷地を購入した。現在、施設について米国原子力規制委員会との事前申請プロセスを進めている。同社は天然グレードのウランを受け入れ、U-235が約5%の製品を製造する計画だが、最終的には次世代炉の燃料として使用できる、より高濃縮の材料の製造も目指している。

GLEは異なるアプローチを取っている。新たに採掘した材料を燃料に使用できる5%濃度まで濃縮するのではなく、まず古い廃棄物の再生から始めることを目指している。

同社は米国エネルギー省と、ケンタッキー州パデューカの濃縮施設における廃棄物の再処理契約を結んでいる。この施設では、旧来の濃縮プロセスで残った微量のウランを含む最大20万トンの材料を濃縮できる。

GLEはU-235が少なくとも0.25%含まれる材料を、約0.7%まで濃縮している。この材料はその後さらに処理され、新たに採掘した材料の代替としてウランのサプライチェーンに組み込まれる。「私たちにとっては、大規模な地上ウラン鉱山のようなものです」と、GLEの政府渉外・広報担当副社長のニマ・アシュケブッシは言う。

GLEのユニットは遠心分離機と比べて1台あたりの複雑さとコストは高いが、同じ作業をこなすために必要な台数はずっと少ない。同様の遠心分離プラントでは数千台の遠心分離機が協調して稼働するが、GLEのレーザー濃縮プロセスを使うフルスケールのプラントでは1000台未満のユニットで済むと、同社のスティーブン・ロングCEO(最高経営責任者)は言う。初期投資は小さくなるはずであり、このプロセスが遠心分離機よりも使用エネルギーが少ないことも一因となって、運用コストも低くなると見込まれているとロングは言う。

GLEはノースカロライナ州ウィルミントンに試験施設を持つ。2025年秋、同社はデモンストレーション・パイロットを完了し、数百キログラムのウランを処理した。そのシステムは廃止され、現在はノースカロライナ州の施設で新たなデモンストレーションの準備を進めており、商業規模での技術の動作を実証する予定だ。

同社はまた、パデューカに計画している施設について米国原子力規制委員会にライセンスを申請した。最終的な安全評価は11月に完了し、最終承認は2027年に下りる見込みだとロングCEOは言う。2030年までに同施設での材料処理を開始する計画だ。

長期的には、地球上には数十年にわたって原子炉を稼働させ続けるのに十分なウランが存在する。しかし、原子力への関心が高まり、燃料の地政学的状況が変化する中で、短期的な需給ギャップや価格急騰が生じ、代替供給源が緩和に貢献できる可能性がある。

レーザー濃縮プラントは既存技術よりも安価になる可能性があると、ニュークリア・イノベーション・アライアンス(Nuclear Innovation Alliance)のシニアフェロー、スティーブン・グリーンは言う。しかし、ほとんどの新技術と同様に、「実際に建設してみないと、本当のところはわかりません」。

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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