中国、BCIを国家戦略に
世界初の商用化で
イーロン・マスクにも先行
イーロン・マスクのニューラリンクが注目を浴びる一方、世界初の商用侵襲型BCI(脳コンピューター・インターフェイス)が中国から登場した。上海のスタートアップが開発した「NEO」は、脳の保護膜の上に置く低侵襲設計で、今年3月に当局に承認された。同じ日、中国は5カ年計画でBCIを重点産業に掲げ、国家戦略として開発を後押ししている。 by You Xiaoying2026.06.02
- この記事の3つのポイント
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- 中国製侵襲型BCI「NEO」が世界初の商用承認を取得し、四肢麻痺患者の機能回復を実現した
- 硬膜上設置による低侵襲設計と中国政府の強力な政策・財政支援が迅速承認を可能にした
- 中国は5カ年計画でBCIを重点産業に位置づけ、今後5年で世界最大のBCI市場形成を目指す
昨年10月のある日、中国河南省の自宅の中庭に座っていたドン・ホイは、ペンを持って字が書けるかどうか試してみることにした。
39歳のドンは、6年前に交通事故で脊髄を損傷し、首から下が麻痺した状態にあった。ゆっくりと、しかし力強く、彼は自分の名前と「ありがとう」の文字、そして日付をペンで書いた。これは、脳に埋め込まれたインプラントによって実現した、11カ月にわたるリハビリの成果だった。11カ月前、ドンは腕をわずかに動かすことはできたが、指を使うことはできなかった。
「また字が書けるとは信じられませんでした。あまりに興奮して、自分の名前の漢字を一画書き忘れてしまったほどです」。ドンはMITテクノロジーレビューの取材にこう語った。
2024年11月、ドンは脳手術によって侵襲型脳コンピューター・インターフェイス(BCI)を装着した、最初期の中国人患者の一人となった。BCIによって別の中国人の麻痺患者が孫娘を抱けるようになったというテレビ報道を見てから1カ月後、彼はそのデバイスを開発した企業の臨床試験に応募した。
ドンが使用している脳インプラントは今年3月、臨床試験の枠を超えて実用化が承認された世界初の侵襲型BCIとなった。現在、脊髄損傷による四肢麻痺を持つ一部の患者に提供されている。このデバイスがなぜ世界初の快挙を達成できたのか、なぜ重要なのか、そして今後何が期待されるのか。複数の専門家に話を聞いた。
世界初の快挙
ドンの脳インプラントは、「NEO」と呼ばれるコイン大のデバイスだ。上海を拠点とするスタートアップ企業、ニューラクル・テクノロジー(Neuracle Technology)が、北京の清華大学の研究チームと共同で開発した。
およそ1時間半の手術では、脳信号を収集するセンサーを、脳を覆って保護する硬い外層組織である硬膜の上に設置する。信号は、頭蓋骨上に装着されたインプラントを介してコンピューターへ送信され、コンピューターは信号をソフトロボット・グローブへの指令に変換する。ドンは物をつかむ動作を習得するため、グローブを装着して毎日2時間半のトレーニングに取り組んでいる。
ドンは手術から約1週間後にリハビリを開始した。「9日目に、右手がグローブなしでボールをつかむことに成功しました。あれは奇跡の瞬間でした」と言う。
現在も自宅でトレーニングを続けている。年老いた両親に迷惑をかけずに着替えや食事などの身の回りのことができるよう、手をもっと上手にコントロールできるようになりたいと考えている。
NEOが承認されたことで、中国では外傷性損傷を持つ多くの患者が同様の道を歩む可能性が出てきた。中国で医薬品や医療機器を監督する中国国家薬品監督管理局によると、このデバイスは脊髄損傷による四肢麻 …
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