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需要は増え、供給は細る——熱波が欧州の電力網を圧迫
Pablo Blazquez Dominguez/Getty
What Europe’s heat wave means for the power grid

需要は増え、供給は細る——熱波が欧州の電力網を圧迫

欧州を襲う熱波は、エアコンによる消費電力を急増させる一方で、原子力発電所の稼働に影響を与えており、需要と供給の両面から電力網を圧迫している。加えて、一部の地域では気候変動によって季節的なパターンが変化し、需要への対応がさらに難しくなっている。 by Casey Crownhart2026.06.29

この記事の3つのポイント
  1. 欧州の熱波が原発停止や学校閉鎖を招き、電力網を供給・需要の両面から圧迫している
  2. エアコン普及率が低い欧州でも冷房需要が急増し、冬季ピーク前提の設備計画との構造的ミスマッチが露呈した
  3. 気候変動の加速で季節需要パターンが変容しており、電力会社は計画前提の抜本的見直しを迫られる
summarized by Claude 3

欧州の熱波に関する見出しから目が離せない状況が続いている。大陸全土で気温が記録を更新し続けており、この異常気象は人命を脅かし学校を閉鎖させ、特に皮肉なケースとして、ロンドンで開催予定だった気候変動対策週間(Climate Action Week)の猛暑に関するイベントの中止まで引き起こした。

夏が本格化し、こうした気象が北半球全体を席巻するのを目の当たりにするたびに、筆者は常に電力網に注目している。今週、特に気になったニュースは、フランス南部の原子力発電所が熱波のために運転を停止せざるを得なくなったというものだ。

気候変動は供給と需要の両面から電力網を圧迫している。筆者が最新の記事で取り上げたように、熱は発電から送電インフラに至るまで、電力の供給可能量に影響を与える。さらに気候変動は電力消費量の増加も後押ししており、欧州各国をはじめ世界各国はこの現実に適応していく必要がある。

米国では、全住宅の約90%にエアコンが設置されている。そのため多くの電力網では夏季に需要がピークを迎え、電圧低下や停電のリスクが最も高まる。

エアコンを悪者扱いする声はよく聞かれるし、確かにこの技術が将来の世界的なエネルギー需要増加の大きな部分を占めることになるのは事実だ。しかし現実として、熱波は非常に危険である。気候変動によって気温が上昇するにつれ、これまでそれほど熱を心配する必要がなかった地域でも、そのリスクはより現実的なものになりつつある。

欧州では歴史的にエアコンの普及率がはるかに低く、大陸全体で約20%の住宅にしか設置されていない。今回の熱波に見舞われている国々を含め、さらに普及率が低い国もある。英国は約5%、ドイツは約3%にとどまっている。

しかし、ますます過酷になる夏への適応が進むにつれ、これらの数字は上昇し始めている。それに伴い、電力需要の増加と電力網への負荷が高まることが予想される。これは米国と同様の状況だ。電力会社は国境を越えて電力を購入せざるを得なくなることも多く、それが全体的な電力価格の上昇を招く。

「主な圧力は三重の締め付けから生じています。冷房需要が急増する一方で、発電所と電力網の効率が低下し、冷却水が温まりすぎたり不足したりするために、一部の火力・原子力発電所は出力を削減せざるを得ない状況です」と、経済・政策シンクタンクのブリューゲル(Bruegel)のシニアフェロー、シモーネ・タリアピエトラはメールで述べている。

気候変動の時代における電力網計画は、一般的に大量の供給を迅速に確保する必要があることを意味する。しかしこの課題の興味深い側面の一つは、一部の地域では季節的なパターンが変化しており、需要への対応がさらに難しくなっているという点だ。

一般的に、電力網の運用者は需要のピークが予想される時期を考慮して、発電所のメンテナンスや停止計画を立てる。原子力発電を例に挙げると、米国では計画的なメンテナンスや燃料交換のための停止は、夏のピークとやや小さい冬のピークの間にあたる、需要が低下する春と秋に実施される傾向がある

しかし欧州では、エアコンよりも電気暖房の方が普及しているため、歴史的に電力需要のピークは冬季に訪れてきた。そのため、計画的な停止が春から夏にかけて実施されることがあり、それが現在の供給に影響を与えている。

例えばフランスのトゥールーズ近郊にあるゴルフェック(Golfech)原子力発電所では、原子炉の冷却に使用している近くの川の水温が上昇したため、今週2号機が停止を余儀なくされた。しかし発電所の運営会社であるEDF(エレクトリシテ・ド・フランス)によると、1号機はすでに計画的なメンテナンスと燃料交換のためにオフラインになっていたという。

気候変動により、世界各地で記録的な高温が今後も続くだろう。地域社会は適応を進めており、電力会社もそれに追随しなければならない。そして今年の夏が暑いと感じているなら、来年を待ってみるといい。エルニーニョ現象の影響で、2027年はこれらの熱波をはるかに上回る可能性が十分にある。

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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