フラッシュ2022年5月20日
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無精子症マウスから高確率で産子獲得に成功=理研
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所(理研)の研究チームは、無精子症のマウスから高い確率で産子を得ることに成功した。これまで、精子となる前の細胞である一次精母細胞を使用した顕微授精で産子を得ることはできていたが、一次精母細胞注入後の卵子内での減数分裂の際に高い確率で染色体異常が発生することから、出生率はわずか数%にとどまっていた。
研究チームは、卵子の細胞質を小さくすることで、減数分裂中の染色体の動態が安定する現象に着目。一次精母細胞の顕微授精時に顕微操作でサイズを小さくした卵子を使ってみたところ、通常サイズの卵子に注入した場合に比べて減数分裂時の染色体異常が大幅に軽減できたという。こうして得た顕微注入胚を母体に移植したところ、出生率が従来のおよそ20倍にまで向上した。一次精母細胞で精子発生が停止している、無精子症のマウスからの産子獲得にも成功した。
研究成果は5月19日、「EMBOレポーツ(EMBO Reports)」誌にオンライン掲載された。無精子症のマウスから産子を得られたとはいえ、そのうちの4匹に性染色体異常が見られたことから、今後は染色体異常を改善することが課題となる。その課題を克服できれば、新たな不妊治療法の1つとなる可能性がある。
(笹田)
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