フラッシュ2022年7月3日
自己免疫疾患とアレルギー疾患に共通の特徴、大規模ゲノム解析
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学などの研究チームは、自己免疫疾患とアレルギー疾患に共通する遺伝的特徴を明らかにするために、日本と英国のバイオバンクで収集された合計84万人のヒトゲノム情報を用いて、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。自己免疫疾患とアレルギー疾患は異なる疾患群と考えられているが、共通した遺伝的要因が部分的に存在することが知られていた。しかし、これまでに自己免疫疾患とアレルギー疾患を統合した大規模なゲノム研究の例はなかった。
今回の解析の対象疾患は、関節リウマチ、バセドウ病、1型糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症。追認解析で全身性エリテマトーデスと乾癬を対象とした検証を実施した。その結果、自己免疫疾患とアレルギー疾患に共通する遺伝子多型はG3BP1、POU2AF1、PRDM2、HBS1L領域に存在することが分かった。
このうちG3BP1領域の遺伝子多型は東アジア人集団で特異的に確認できるものであり、I型インターフェロン発現に関係する。POU2AF1領域の遺伝子多型は人種を問わず確認できるもので、B細胞の抗体産生に関係する遺伝子である。このように、アレルギー疾患の遺伝的リスクに自然免疫に関わる遺伝子や免疫細胞が関係していることも明らかになった。
研究成果は6月27日、アナルズ・オブ・リューマティック・ディジーズ(Annals of the Rheumatic Diseases)誌にオンライン掲載された。今回の研究で明らかになった疾患間で共通する遺伝子は、創薬の標的となる可能性がある。
(笹田)
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