フラッシュ2022年9月10日
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悪性リンパ腫に単一遺伝子疾患型の可能性、大規模ゲノム解析で判明
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所(理研)などの共同研究グループは、悪性リンパ腫患者と非がん対照者の症例対照研究を実施した。悪性リンパ腫患者2066人、非がん対照者は3万8153人が対象で、この種の研究では世界最大規模だという。
研究グループは、バイオバンク・ジャパンが収集した悪性リンパ腫患者と非がん対照者の血液からDNAを抽出。理研が独自に開発したゲノム解析手法を利用し、乳がん、前立腺がん、膵がんなどの発症に関連する27個の遺伝性腫瘍関連遺伝子について評価した。その結果、4850個の遺伝子バリアントが特定され、そのうちの309個を病的バリアントと判定した。
次に、病的バリアントと悪性リンパ腫の発症リスクの関連解析を実施したところ、「BRCA1」「BRCA2」「ATM」「TP53」の4種の遺伝子が悪性リンパ腫の発症リスクに関連することが分かった。悪性リンパ腫の病理組織型ごとの関連も調べた結果、マントル細胞リンパ腫の患者のうち9.1%が悪性リンパ腫の発症リスクに関連する遺伝子を持っており、ほかの病理組織型に比べて遺伝子の影響が特に強いことが分かった。
結果として、悪性リンパ腫、特にマントル細胞リンパ腫の中には、ゲノム配列上たった1カ所の配列の違いで発症する単一遺伝子疾患型が存在する可能性があることが明らかになった。研究グループは、他のがんと同様に、原因遺伝子について考慮することで、悪性リンパ腫の診断や治療がより改善する可能性があるとしている。
研究成果は9月6日、キャンサー・サイエンス(Cancer Science)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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