フラッシュ2023年1月24日
-
肺で細胞性免疫が形成される仕組みを解明=NAISTなど
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)、東京大学、兵庫医科大学、近畿大学、奈良県立医科大学の研究グループは、肺でキラーT細胞が形成される仕組みを解明した。キラーT細胞は、ウイルス感染やワクチン投与後に体内に形成される細胞性免疫で主な役割を果たす細胞。ウイルスなどの病原体に感染した細胞や腫瘍細胞を直接見つけ出して、感染した細胞ごと病原体を殺傷することで、感染症の重症化抑制などの効果をもたらす。
これまでの研究で、キラーT細胞の一部は「メモリー型キラーT細胞」として体内に長くとどまり、次の感染に備えていることと、メモリー型キラーT細胞の中には、「レジデントメモリー型キラーT細胞」と呼ぶキラーT細胞があり、全身を循環せずに特定の組織にとどまって、その組織が病原体に感染することに備えていることが分かっている。
研究グループは今回、肺の中で細胞性免疫が形成される仕組みの解明を目指した。マウスによる実験の結果、肺に特異的に存在する「肺胞マクロファージ」と呼ぶ細胞が抗原を取り込み、キラーT細胞に提示することで、レジデントメモリー型キラーT細胞を誘導し、ウイルスの増殖を抑えていることが明らかになった。
研究成果は12月13日、セル・リポーツ(Cell Reports)誌に掲載された。今回の研究成果を活用した新しい種類のワクチンの開発が期待されるという。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Two Nobel Prize winners want to cancel their own CRISPR patents in Europe クリスパー特許紛争で新展開 ノーベル賞受賞者が 欧州特許の一部取り下げへ
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
- A brief guide to the greenhouse gases driving climate change CO2だけじゃない、いま知っておくべき温室効果ガス
- Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
- Sorry, AI won’t “fix” climate change サム・アルトマンさん、AIで気候問題は「解決」できません