フラッシュ2023年4月13日
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がんの新生血管形成の仕組みを解明、新薬開発の切り口に
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京医科大学、がん研究会、京都大学、東京大学、神奈川県立がんセンターの研究グループは、がん細胞が完全な構造の血管を新生する仕組みを解明した。血管内皮細胞の周りを周皮細胞が裏打ちする完全血管は、がんの転移を助長することから、その形成メカニズムの解明が期待されていた。
研究対象は胞巣状軟部肉腫(ASPS)。ASPSは早期に肺などに転移しやすく、予後不良な疾患だが、完全血管を形成する特徴がある。研究グループはマウスを使った実験で、ASPSの原因遺伝子AT3が血管新生に関与することを明らかにした。AT3を欠失させると腫瘍増殖が抑制され、AT3はエンハンサーに作用して血管形成遺伝子の発現を制御していた。
さらに、AT3の制御を受けるRab27a、Sytl2、Pdgfb、Vwfの4遺伝子が、周皮細胞誘引や血管増殖因子輸送に関わることを突き止めた。Pdgfbは周皮細胞を誘引する働きがあり、Vwfは血管増殖因子の機能維持に関わる。一方、Rab27aとSytl2は血管形成因子を含む小胞の輸送を促進する役割を持つ。
研究成果は4月7日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。ASPSに限らず、一部のがんでは完全な血管新生があり、この仕組みを標的とする新薬が期待される。研究グループは治療薬開発を進めているという。
(笹田)
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