フラッシュ2023年9月20日
- 持続可能エネルギー
停電からの復旧のしやすさをアルゴリズムで評価、東北大と明電舎
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学と明電舎の研究グループは、送電網の停電からの復旧のしやすさを評価・分析するアルゴリズムを開発し、送電線の電気抵抗による損失が小さい配電経路が、停電時からの復旧も容易であることを明らかにした。停電時は隣接する配電エリアの供給余力を融通することで早期に停電から復旧できるが、配電経路の停電からの復旧しやすさを定量的に評価し、数理解析する手法は確立されていなかった。
研究グループは配電経路の停電からの復旧しやすさを評価する指標を提唱し、数理アルゴリズムを開発。さらに開発したアルゴリズムから、送電線の電気抵抗による損失が小さい配電経路を設定することで、事故時に停電のまま残ってしまうエリアが小さくなるとの結果を得た。
研究では、送電網の供給源(送電網の送出点)そのものが故障するという重大な事故を想定し、送電網の日本標準モデルを対象に120通りの需要パターンでシミュレーションを実施。その結果すべての需要パターンで、送電網の電気抵抗による損失が小さい配電経路を設定すると、停電のまま残ってしまうエリアを同等あるいは縮小することが分かった。
損失が少ない配電経路を設定することは、無駄になる電力を最小化することを意味する。研究では電力の無駄を最小限に抑えた配電経路を設定することで、停電からの復旧もしやすくなることを示しており、送電網の事故耐性を高めることで、環境への配慮も同時に可能になることを示している。
(笹田)
- 人気の記事ランキング
- What to know about this autumn’s covid vaccines 新型コロナに秋の流行の兆し、ワクチンの現状は?
- How new batteries could help your EV charge faster CATLの新型電池でEV充電高速に、10分で400キロ走行
- AI just beat a human test for creativity. What does that even mean? AIが創造性テストで人間に勝利、その衝撃結果が意味すること
- How water could make safer batteries 電解液に水、送電網向け「燃えない電池」開発が活発化
- This startup plans to power a tugboat with ammonia later this year 輸送産業の脱炭素化、「アンモニア」に賭けるMIT発ベンチャー