フラッシュ2024年4月4日
-
生物工学/医療
iPS細胞から肺胞細胞など作製、新型コロナ変異株の病原性を評価
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学の研究チームは、ヒトiPS細胞から肺胞上皮細胞と気道上皮細胞を分化誘導し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株を見分けるモデル系を作製することに成功。それぞれの感染実験により、SARS-CoV-2変異株において病原性の特徴を詳細に調べられることを示した。
研究チームは今回、SARS-CoV-2の変異株を高分解能で識別するためのモデルとして、マイクロパターン培養プレートの上でiPS細胞由来の肺胞上皮細胞と気道上皮細胞を別々に誘導。コロニーの周辺部でII型肺胞上皮(AT2)細胞が、中央部では多毛化した気道上皮細胞が誘導されることを観察した。
同チームはさらに、マイクロパターン培養により作製した肺胞と気道の上皮細胞のそれぞれに対し、5種類のSARS-CoV-2の感染実験を実施。SARS-CoV-2変異株ごとの感染効率や、感染した細胞の反応の違いなど、病原性の特徴を詳細に調べられることを示した。
SARS-CoV-2の感染拡大では、ウイルスの変異株が次々と出現し、その病原性を迅速に評価するシステムが必要となった。肺胞上皮細胞はSARS-CoV-2が体内へと侵入する場の一つであるが、肺胞上皮細胞の入手や維持培養は困難であり、ウイルス侵入の評価をすることができなかった。今回開発した培養系を使うことで新たに出現するSARS-CoV-2変異株をはじめ、新規ウイルスの感染メカニズムの解明や、病原性の予測が可能になることが期待される。
研究論文は、ステム・セル・レポーツ(Stem Cell Reports)に2023年3月28日付けで公開された。
(中條)
-
- 人気の記事ランキング
-
- This scientist rewarmed and studied pieces of his friend’s cryopreserved brain 10年冷凍保存の脳は「驚くほど良好」——蘇生は「まったく別の話」
- Future AI chips could be built on glass AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ
- What do new nuclear reactors mean for waste? 新型原子炉が続々登場、核廃棄物管理の「手引き」は書き直せるか
- The Pentagon is planning for AI companies to train on classified data, defense official says 【独自】米国防総省、軍事機密データでAIモデルの訓練を計画