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「ネットの自由守れ」ブロックチェーン・ベースのDNSが始動
Chris Liverani on Unsplash
A crypto project to make internet names censorship-proof is now live

「ネットの自由守れ」ブロックチェーン・ベースのDNSが始動

ハンドシェイク・ネットワーク(Handshake Network)と呼ばれる野心的なパブリックブロックチェーン・プロジェクトは、数カ月のテストの後、ついにメインネットワークを立ち上げた。ハンドシェイク・ネットワークは、インターネット・ドメイン名の割り当て方法を改革しようとする開発者によるプロジェクトである。

ブラウザーにWebサイト名を入力すると、DNS(ドメイン名システム)と呼ばれるコンピューター・ネットワークが要求される。DNSはインターネット上のすべての名前を追跡するものだ。DNSは入力されたテキスト(例: www.technologyreview.com )をIPアドレスと呼ばれる数値の文字列に変換する。この番号により、ブラウザーはアクセスしようとしているWebサイトのサーバーを見つけてサーバーに接続できる。

DNSは階層的なグローバルネットワークで、階層の最上部にはいわゆるDNSルートがある。ロサンゼルスを拠点とする非営利団体「ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)」がDNSルートを監督し、新しい「トップレベルドメイン」の割り当てを担当する。これには.com、.org、.net、およびほとんどの2文字の国コードが含まれる。インターネットの自由の擁護者は、この割り当ての実行を単一の組織に依存すると、インターネットが検閲とハッキングに対してより脆弱になると主張している。政府がDNSを使用して特定のサイトへのアクセスをブロックすることが知られているからだ。ハンドシェイク・ネットワークの支援者は、ブロックチェーンを使用してルートの制御を非中央集権化できるという。

ハンドシェイクのネットワークは、ビットコインネットワークに似たものになる。コンピューターは競い合ってブロックチェーンに新しいトランザクションを追加し、暗号通貨を獲得する。ただ、このブロックチェーンは登録済みのドメイン名も追跡し、インターネットで人気のある上位10万件のドメイン名がすでにチェーンに含まれている。ドメイン名がブロックチェーンにない場合、ソフトウェアはリクエストを通常のDNSサーバーにリダイレクトするという。プロジェクトの開発者であり投資者であるスティーブン・マッキーは昨年 6月、本誌にこう説明していた

どうやれば使えるのだろうか? コンピューターのDNS設定を、公開されているハンドシェイクのネームリゾルバーに変更すれば、今日からでも使うことができる。暗号通貨や特別なソフトウェアは必要ない。専用ソフトウェアをインストールして実行することで、ハンドシェイクのブロックチェーン・ネットワークに直接参加することもできる。このソフトウェアの「ライト」バージョンはブラウザーに埋め込むことも可能だ。ドメイン名を登録するには、「HNS」と呼ばれるネットワークの暗号通貨を使用したオンライン・オークションに参加する必要がある(ここで購入可能)。

この仕組みがうまくいくために、ハンドシェイクは、新しいコインを求めてソフトウェアを実行する「マイナー」の大規模なコミュニティを作り、開発者を引き込んでネットワーク上にアプリケーションを構築させ、通常のユーザーには従来のDNSから切り替えるよう説得する必要がある。他の多くのブロックチェーンベースのインターネット・ネーミング・システムがすでに失敗しているが、このプロジェクトは成功できるのだろうか? ついに公開されたいま、調べてみるといい。

マイク オルカット [Mike Orcutt] 2020.02.18, 15:32
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