
中国が世界最大の炭素市場を設立、気候変動対策のリーダーへ
地球最大の環境汚染者は、これまでの行動を帳消しにする革命的な計画を立てている。二酸化炭素排出量を削減するインセンティブを企業に与える炭素市場について、中国政府が公式に発表したとニューヨーク・タイムズ紙が報じた。中国が排出量取引制度を導入することは、2017年6月、パリ環境協定からの米国の離脱が発表されたときからささやかれていた。
以下は、中国が発表した炭素市場の概要だ。
- 新しい市場では、火力発電所の二酸化炭素排出量の上限を定めている。上限以上に排出する場合は、それを補うために排出量枠を購入できる。排出量が上限より少ない場合は、余った排出量枠を売却できる
- 当初、年間2万6000トン以上の二酸化炭素を排出する火力発電機が対象となる。スタートとしてはよいところだ。2016年、対象となる発電機から排出される二酸化炭素は、中国の化石燃料から排出される量の半分に近い
- これだけでも非常に大きなことだ。ニューヨーク・タイムズ紙によると、対象となる排出量は毎年33億トンの二酸化炭素にあたる。33億トンというのがどれほどの量かは、欧州連合(EC)の炭素市場がカバーしているのが20億トンだといえば理解できるだろう
- 多くのことがまだ未確定だ。正確な時期や規定はまだ決定されておらず、またこの新しい規制が、運輸や建設など、発電以外の大きな環境汚染源である分野にまで、いつ広げられるのかについては言及されていない
反応は賛否両論だ。
- アル・ゴアはニューヨーク・タイムズ紙に対して、これは「世界的な持続可能の革命が進行しているという、一つの力強い兆候だ」と話している
- シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所で中国に焦点を当ている経済学者のデレック・シザーズ常勤研究者は、「炭素市場が真剣に受け入れられるとは思えない」と話す
もし、この炭素市場が機能すれば、たいしたことになる。しかし、それは、大きな「もし」だ。
- 中国は世界最大の炭素排出国だ。毎年、世界の石炭の半分以上を燃やしている。
- この発表は、事実上、世界の気候変動問題のリーダーとしての中国の役割をさらに強固にするだろう。また、中国の炭素排出量に削減をもたらすとともに、他の国が似たような一歩を踏み出す励みにもなる
- だが、過去には多くの炭素市場が失敗に終わっており、この新しい規則が中国でどれほど上手く運用されるのかは明確ではない
- 参照元: NYT
