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3つの意識のうち機械は1つしか持っていない——仏の研究チーム Could We Build a Machine with Consciousness?

3つの意識のうち機械は1つしか持っていない——仏の研究チーム

いまだ可能とはなっていないが、そう遠くない未来に実現する可能性について、神経科学の研究がヒントになる。

10月26日にサイエンス誌で発表された論文の中で、フランスの高等教育機関コレージュ・ド・フランスのスタニスラス・ドゥアンヌ率いる3名の神経科学者のグループが「意識」とは何を意味するのかを正確に突き止める試みを行なった。機械が意識を持つことがあり得るのか、明らかにすることが目的である。3人によると、意識には3つの種類があり、コンピューターはこれまでうち1つしか身につけていない。

意識の1つが潜在意識である。潜在意識とは、人間の知性をつかさどる脳内の膨大なプロセスである。たとえば、チェスの動きを決めたり、やり方を知っているわけでもないのに無意識に顔を見分けたりする場合にこのプロセスが働いている。ディープマインドのアルファ碁(AlphaGo)Face++(フェイス・プラス・プラス)の顔認識アルゴリズムのような、現代のAIの多くの処理がこれに匹敵するとドゥアンヌら研究者は言う。

実際の意識(顕在意識)について、ドゥアンヌらは2つの異なるタイプに分類した。1つ目は、脳の他の部分へアクセスして一度に膨大な数の思考を維持でき、長期的な計画のような能力を可能にすることである。2つ目は、自分自身に関する情報を入手し、処理する能力で、これによって間違いを反映できる。この2つの意識が機械学習にはまだないのだと3人は言う。

だが、いくつかの研究によって、光が見え始めつつある。たとえば昨年、思考中に使用するためのデータを持ち合わせておくことが可能な深層学習システムをディープマインドが開発した。広域情報の利用に向けた前進である。また、2017年版35歳未満のイノベーター35人の1人であるイアン・グッドフェローが考案した競争式生成ネットワーク(GAN:generative adversarial network)では、AIが作成したデータが現実的かどうか評価することが可能な、自己認識を指向したものである。

これらの成果が、研究者が言うところの、人間の意識を生じさせるようなプロセスの実現に向けた小さな進歩でしかないことは間違いない。だが、3人の結論によれば、機械により高い能力が備われば、「意識があるかのようにふるまい(中略)何かを考えていることを自覚し(中略)それに自信があることを表明し(中略)それを他人に報告し(中略)さらには、人間と同じ錯覚まで見るようになる可能性すらある」。

ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe] 2017.11.05, 23:31
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