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森を越えるドローン、英国でネット難民を救う
Openreach
How Do You Get a House in a Steep Valley Forest Online? With a Drone

森を越えるドローン、英国でネット難民を救う

英国ウェールズの辺境にあるポントファドッグ村で、安定したデータ接続を確保するのは容易なことではなかった。

インターネット・インフラ企業のオープンリーチ(Openreach)は、ポントファドッグ村の多くの世帯に毎秒1ギガビットのファイバーをなんとか設置したものの、村を見下ろす険しい谷側の20軒にファイバーを接続することになって困り果てた。英国メディアのシリコン(Silicon)が 指摘するように、谷に溝を掘るのに適した機械が手に入らず、林冠のせいで無線接続もできない状態だった。

ではどうやってファイバー・ケーブルを谷側の家まで引っ張ることにしたのか? 「ファイバー・ケーブルを林冠の上に飛ばして、樹木限界線を確実に越えるように持ち上げることが最善策だと思いました」とオープンリーチのアンディ・ホエール主任技術者はBBCに説明する。

オープンリーチはおおよそ、そのようにした。実際には、DJIのドローン「マビック・プロ(Mavic Pro)」を使って、樹木限界線を越える2カ所の間に約100メートルの長さの頑丈な釣り糸を吊るした。そして釣り糸を、ファイバーを運ぶ経路として使ったのだ。ケーブルの設置には1時間ほどかかったが、従来の方法でケーブルを森の上に通そうとしたら何日もかかったかもしれない、という。

森の中にインターネットを通すやり方は、もちろんたくさんある。余った周波数帯を使ったりテレビ電波を通したり気球を使ったり成層圏のドローンから電波を発射したり、あるいは人工衛星から地上に送ることもできる。ドローンを使ってファイバーを配線するのも、その選択肢に加えてよい名案だ。

ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe] 2017.12.01, 11:45
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