共和党員からも気候変動対策強化を求める声=ピュー研究所調査
気候変動によって高まるリスクに対処するため、政府が関与を強めるべき——。そんな米国共和党支持者が増えている。気候変動に関する、めずらしく明るいニュースだ。
米シンクタンクのピュー研究所が毎年実施している、気候とエネルギーに関する意識調査によれば、共和党員および共和党支持者の米国成人のうち39%が、気候変動の影響を抑えるための連邦政府の取り組みが十分ではない、と回答した。1年前の35%から上昇しており、女性(46%)やミレニアル世代以下(52%)、中道およびリベラル寄り(65%)の共和党員では特に数字が高かった。
有権者は全体として、気候変動に取り組む用意ができているようだ。米国成人の70%近くが政府は対策を強めるべきだと回答し、民主党員ではその割合は90%に達した。
一方、共和党員の安定多数(62%)が、化石燃料の拡大よりも風力や太陽光、水素などの再生可能エネルギー源の開発を優先すべきだと考えている。2年前は45%に過ぎなかったが、大きく増えた形だ。
化石燃料を優先すべきと回答した共和党員はわずか37%だけで、2017年の44%から下落している。
保守派の共和党員の半数強が、人間の活動が「大いに」(14%)もしくは「いくらか」(39%)気候変動に寄与していると回答。中道・リベラル寄りの共和党員では77%、リベラル派の民主党員では96%だった。
今回のピュー研究所の調査はこれまでと質問の方法を変更しているため、結果の単純な比較はできない。だが、2018年初頭の調査では、人間の活動のせいで地球が温暖化していることに同意する保守派の共和党員は18%しかいなかった。
このような動向は、ここ数カ月間の左派による気候変動に対する活動、および世界的な若者の抗議活動や「グリーン・ニューディール」を含む全面的な政策提案の急増と連動している。全体として、行動を促す要求の高まりは、現実世界への影響を示す証拠が増えていること、科学的な報告からの警告が深刻さを増していること、およびメディアの報道が増えていることなどが原因の可能性がある。
気候変動を否定する言説を抑えたり、自らが推奨する解決策のパッケージを提示したりする保守派の指導者やグループ、コメンテーターが、少数ながらも増えているのだ。
ピュー研究所の新たな調査結果は、共和党議員が唐突に全面的な気候政策を提案したり、受け入れたりするほどの大きな変化を示すものではない。さらに、米国が温暖化ガス排出を減らすための厳格な規制を課すべきタイミングからはすでに数十年過ぎている。だが、少なくとも回答者の割合は正しい方向へ動いており、特に若者や女性、中道寄りの共和党員でそれが顕著だと言える。