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遺伝子編集技術「クリスパー」巡る特許論争、第2ラウンドへ The fight over who owns CRISPR is back, and it’s a rematch

遺伝子編集技術「クリスパー」巡る特許論争、第2ラウンドへ

有益な遺伝子編集ツールである「クリスパー(CRISPR)」を巡る特許論争が再燃している。今回も、マサチューセッツ州ケンブリッジのブロード研究所とカリフォルニア大学による争いだとスタット(STAT)ニュースが報じている。

すべては金銭や権力、科学的な評価に関することだ。簡単に言うと、クリスパーの本当の発明者は誰なのか?という問題である。クリスパーは、細胞内のDNAを改変するシンプルな手法だが、世界を席巻し、新世代の遺伝子療法による治療の基盤になる可能性がある。

一方の陣営はカリフォルニア大学バークレー校だ。試験管内でDNAをすばやく処理できるクリスパー編集技術に関する論文を2012年に発表したチームの一員として、生化学者のジェニファー・ダウドナ教授らが名を連ねる。もう一方の陣営は、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の共同組織であるブロード研究所である。同研究所のスター科学者であるフェン・ザン研究員はクリスパーを使ってヒトDNAを編集した最初の1人だ。

米国特許商標庁は今週、「インターフェアレンス」手続きを開始した(日本版編注:特許出願が競合した場合に最初の発明者を決定する手続きのこと。米国では2013年まで先発明主義が採用されていた)。つまり、同じ発明をカバーすると見なされる一連の特許や特許申請を取り上げ、裁判所のような法的手続きを経て、争いの当事者の間で権利が移る可能性がある。

クリスパーの特許を巡る審理が実施されるのは、今回が初めてではない。前回は、試験管だけでなく、ヒトの細胞内でクリスパーを働かせることは別の発明であると特許商標庁が裁定し、ブロード研究所が勝利した。つまり、当面の間は、ブロード研究所の重要特許が有効とされたのだ。

ヒト細胞でのクリスパーが別の技術だということが明確になった現在、新たな課題が浮上している。特許商標庁は、競合・対立する多数の特許請求を整理し、発明が誰のものかを見い出さなくてはならない。

訴訟文書によれば、バークレー校と和解手続きを開始し、さらなる問題(それに弁護士費用)を避けられるかどうかは、ブロード研究所にかかっている。これまでのところ、両陣営は休戦協定を結ぶには至っていない。

アントニオ レガラード [Antonio Regalado] 2019.06.26, 19:00
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