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ウーバー対グーグル、自動運転技術をめぐる裁判で和解
Waymo
Waymo and Uber have reached a settlement in their trade secrets battle

ウーバー対グーグル、自動運転技術をめぐる裁判で和解

ウーバー(Uber)とグーグル傘下のウェイモ(Waymo)の自律運転車テクノロジーの盗用に関する訴訟は、4日間に渡る裁判の後、突然の和解に至った。

ウェイモの弁護士らが2月9日、サンフランシスコの裁判所で和解を発表した際、息をのむような衝撃が走ったという。バージ(Verge)によると、裁判長を務めたウィリアム・アルサップ連邦裁判官は、 1年に渡った今回の裁判を「過去のもの」と呼んだ。

ウェイモの声明は次のとおりだ。「 当社は、ウーバーとの間で、現在および将来に渡ってウェイモの知的財産を保護する協定を結びました。この協定には、ウェイモの機密情報一切がウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループのハードウェアおよびソフトウェアに取り入れられないことを保証する合意が含まれています」。

ウェイモは和解によって、ウーバーの株式の0.34%を得ることになる。ウーバーの現在の企業評価額720億ドルに基づくと、約2億5000万ドルに相当する。だが、ウェイモが得たのは株式であり、現金ではない。ウェイモが所有するのは、ウーバーという企業の小さな一片なのだ。

ウーバーは不正行為を否定している。ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、陳述の中で、いかなる企業秘密もウェイモからウーバーに渡ったことは無いと信じており、「ウーバーが、ウェイモ固有の情報を、ウーバーの自律運転テクノロジーに使用したことは一切無いと本当に信じている」と付け加えた。今回の和解は罪の承認ではなく、将来の訴訟合戦を回避するための手段なのだ。

和解によって、 両社は多くの点で通常通りのビジネスに戻れることになる。だが同時に、ウーバーとウェイモの関係にまた不思議なねじれが加わることになる。グーグルはウーバーの初期投資家だったが、ウーバーが無人自動車を作り始めたころには苛立っていた。ウーバーがウェイモの社員を引き抜いたり、企業秘密を盗んだとされるときには完全に激怒していた。だがいま、グーグルの後ろポケットにはウーバーの小さな一片が入っているのだ。この出来事は、自律運転の未来を形作る興味深い動きを生み出す可能性がある。

ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe] 2018.02.12, 7:30
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