KADOKAWA Technology Review
×
Panasonic
ニュース Insider Online限定
How 5G connectivity and new technology could pave the way for self-driving cars

トヨタ・GMvs日産・フォード:5G時代のコネクトカー技術の行方

移動体通信を用いて自動車同士や歩行者、道路設備との間で情報を高速にやり取りできるコネクテッドカー技術「C-V2X」を支持する自動車メーカーが増えている。しかし、Wi-Fiベースの「狭域通信(DSRC)」を開発し、既に一部の自動車に搭載しているトヨタは、C-V2Xに反対する姿勢を見せている。 by Elizabeth Woyke2018.08.20

交差点に差し掛かった自動車が信号と通信したり、道路を横断しようとする歩行者を警戒したり、高速道路を時速105キロで走行中に自動車同士がコミュニケーションを取ったりできたら、運転はどれほど安全で、スムーズで、効率的になるだろうか。「C-V2X」と呼ばれるピア・ツー・ピア(P2P)の無線テクノロジーは、カメラやレーダーが捉えられない障害物を自動車に警告し、周囲の環境に接続する。将来的には自動運転にとって有益な技術になる可能性がある。

エリクソン、ファーウェイ、ノキア、クアルコムをはじめとする多くのテック企業は、2016年から「C-V2X(cellular-vehicle-to-everything)」の開発に着手しており、現在では小規模な実証実験を開始している。こうしたデモのほとんどでは、C-V2Xの専用チップセットとモデムを搭載した車やトラックを、人間が運転している。自動車は1秒間に10回の頻度で無線信号を送受信し、接近する歩行者、暴風、事故といった特定の情報を、ドライバーのフロントガラスまたはダッシュボードに警告としてポップアップ表示する。

8月14日にコロラド州で行われた最新のデモでは、自動車と信号を接続することで、信号が変わるタイミングをドライバーが正確に把握できる技術が披露された。将来的には、自動車同士、橋、料金所、工事看板、道路沿いのインフラなどとの間で情報をやり取りできるようになることが期待される。

C-V2X推進派は、データをやり取りすることで不運な事故を避けられ、渋滞の軽減や温室効果ガスの排出削減にもつながるという。喧伝しているのはもっぱらC-V2Xとチップ、関連機器、ソフトウェア販売によって利益を得ることになるテック企業だが、その一方で自動車メーカーの多くも強い関心を寄せている。大半の自動車メーカーは、すでに確立されている自動車テクノロジー(狭域通信のこと。後述)よりもC-V2Xを採用したい考えのようだ。

たとえばフォードは、これから発売される新型車にC-V2Xを …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. We finally have a definition for open-source AI 「オープンソースAI」問題ついに決着、OSIが定義を発表
  2. Here’s how people are actually using AI カネにならない生成AIブーム、LLMはどう使われているか?
  3. The US physics community is not done working on trust 物理学界で繰り返される研究不正、再発防止には何が必要か
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る