ARで宇宙船の組立てに異変
現実になった「未来の工場」
ロッキード・マーチンは宇宙船の組み立て工程にARヘッドセットの導入を進めている。数千ページにも及ぶ紙のマニュアルからの脱却によって、製造業の未来は着実に変わりつつある。 by Erin Winick2018.10.16
アイフォーン(iPhone)や靴のように、1つの製品を何千個も何万個も大量生産するような工場なら、すぐに組み立て作業の熟練工になれるだろう。だが、もし宇宙船を組み立てるとなると、そう簡単にはいかない。
「何かを製造するたびに、ほぼ毎回、初めての作業になる」(ロッキード・マーチンのブライアン・オコナー製造統括責任者)からだ。
航空宇宙産業ではこれまで、数千ページにも及ぶ紙のマニュアルを使って、従業員へ作業内容を指示伝達してきた。近年ではボーイングやエアバスといった企業で拡張現実(AR)を使った実験が始まったものの、試験段階より先に進むことはほとんどない。だが、少なくともロッキードでは状況は変わりつつある。同社の従業員は1日も欠かすことなく、ARを使って仕事をしているのだ。
宇宙船技術者のデッカー・ジョリーは、計画が何度も延期されているNASAの超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(Space Launch System)」に搭載される予定の有人宇宙船「オリオン(Orion)」の作業工程で、マイクロソフトのヘッドセット「ホロレンズ(HoloLens)」を毎日使っている。
「1日の始まりに、これから自分がやる予定の作業に慣れてお …
- 人気の記事ランキング
-
- Two Nobel Prize winners want to cancel their own CRISPR patents in Europe クリスパー特許紛争で新展開 ノーベル賞受賞者が 欧州特許の一部取り下げへ
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
- A brief guide to the greenhouse gases driving climate change CO2だけじゃない、いま知っておくべき温室効果ガス
- Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
- Sorry, AI won’t “fix” climate change サム・アルトマンさん、AIで気候問題は「解決」できません