KADOKAWA Technology Review
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This Contact Lens Will Kickstart the Internet of Disposable Things

電源なしで動作するIoTコンタクトレンズを作る方法

周囲の無線信号を再利用するモノは、電源なしでインターネットに接続できる。 by Tom Simonite2016.10.19

電池のいらないデバイスが、 Wi-Fiやラジオ、テレビ局からの信号を再利用することで、通信、稼働できる方法を発明した(“10 Breakthrough Technologies 2016: Power from the Air”参照)ワシントン大学のシャム・ガラコタ助教授が画期的なIoTデバイスを作った。Wi-Fiでスマホと接続できるコンタクトレンズだ。

試作品は、ガラコタ助教授のテクノロジーが、およそどんなもコンタクトレンズにも、さらには使い捨てのコンタクトレンズにさえも、インターネットに接続できることを実証している。ガラコタ助教授は水曜日にEmTech MIT 2016カンファレンスのイベントで「この部屋に座っているとき、わたしたちに衝突している電波信号が非常にたくさんあるのです。このような信号から電力を回収し、反射を利用して信号を送れるのです」と説明した。

A prototype contact lens, left, and brain implant, right, can communicate over Wi-Fi despite lacking batteries.
左の試作品のコンタクトレンズ(左)と、脳インプラント(右)は、電池がなくてもWi-Fi 接続できる

ガラコタ助教授と大学院生は、自分たちのテクノロジーの可能性を実証するために、Wi-Fi 接続できるコンタクトレンズをつくった。「WiFi後方拡散」テクノロジーは、安いセンサーでも、複雑なインプラントでも、医療機器の機能を向上できる。研究チームは、入院患者を見守るために、温度と呼吸を感知できる柔軟なスキンパッチもつくった。

もうひとつの試作品はコンサートポスター形式で、FM電波でバンド演奏を部分的に放送する。最近の実験では、Wi-Fiルーターの信号を再利用する後方拡散デバイスが、最大1km、または建物の3階まで接続できることを確認した。

Shyam Gollakota, right, speaks with MIT Technology Review's Editor-in-Chief Jason Pontin.
MIT Technology Reviewのジェイソン・ポンティン編集長と話すシャム・ガラコタ助教授(右)

後方拡散テクノロジーは、デバイスやモノがネット接続する顕著に安価な方法だ。バッテリー代を削減できるばかりか、この通信方式に必要な電気回路は、従来の無線ハードウェアよりもより単純で安価だ。

「目標は、数十億の使い捨てデバイスを通信可能にすることです」とガラコタ助教授はいう。

このテクノロジーの事業化を目指して、ガラコタ助教授はジーバ・ワイヤレス(Jeeva Wireless)を設立した。ありふれた医療機器に接続性を付加するスタートアップ企業として、大手製薬会社とすでに話し合っている、という。

ガラコタ助教授は、企業秘密に関わる ので、製品名や企業名を特定することを避けたが、この取引は、数十億デバイスという自分の目標へ向かっているという。

「もし上手くいけば、1年で数億デバイスになるでしょう」

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クレジット Photograph by Justin Saglio, Image courtesy of University of Washington Computer Science & Engineering
トム サイモナイト [Tom Simonite]米国版 サンフランシスコ支局長
MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

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気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

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