KADOKAWA Technology Review
×
日本発・世界を変える「U35 イノベーター」募集中!
非現実的な「グリーン・ニューディール」には科学的な視点が必要だ
Scott Eisen/Getty Images
ニュース 無料会員限定
Let’s keep the Green New Deal grounded in science

非現実的な「グリーン・ニューディール」には科学的な視点が必要だ

米民主党が掲げた包括的な環境政策である「グリーン・ニューディール」政策を巡って世界的な環境団体が団結を強めている。だが、さまざまな思惑が交錯し、科学的な視点が欠落した提言の実現性は乏しい。 by James Temple2019.01.21

グリーン・ニューディールの展望はいまや米国政治を活性化させる力となり、気候変動活動家を鼓舞し、連邦政府の広範な気候計画の裏付けとなる圧力を加えつつある。

しかし、環境と経済を扱うこの政策パッケージには、関心の高い集団が崇高な理念を基本的な政策に転換することを模索しており、当初から技術的な欠陥が含まれていたことがくっきりと浮かび上がってきている。特に、冒頭の文言では「国内の電力需要を100%再生可能エネルギー源」で賄うという目標が掲げられているが、これを一般的に解釈すれば、原子力や気候に影響するような排出物を捕獲できる装置を備えた化石燃料発電所などの無炭素エネルギー源は除かれることになる。

米議会に先週送られた書簡において、600以上の環境団体が再生可能エネルギーの定義をより狭めることを求め、さらに最終案ではバイオマスや大規模な水力発電も禁止するべきだとしている。また、国際環境NGOの350オルグ(350.ORG)や地球の友(FoE)、グリーンピース(Greenpeace)非営利団体の生物多様性センター(Center for Biological Diversity)といった団体が、炭素税やキャップ&トレード・プログラムといった市場ベースのメカニズムを促進するいかなる気候法案にも反対していく、とも綴られている。

※日本語版注:キャップ&トレード(cap-and-trade)は政府が温室効果ガスの総排出量を決定し、企業などに排出枠を配分し、排出枠の一部の移転または収得を認める制度。

つまり、米国全体のエネルギーを風力や太陽光、それにおそらく幾分かの地熱発電で賄うことを意味する。

だがこれは気候変動の脅威を抑えるために必要な低炭素または無炭素のエネルギー・システムを早期に、また無理なく達成するための戦略としては不合理だ。最近の研究で判明したことを総合すると、原子力や二酸化炭素の貯留、水力発電は不可欠なものであり、炭素価格制度は変革を推進するもっとも強力なツールの1つとなり得るからだ。

環境団体の書簡では、1.5℃の気温上昇を防ぐための早期かつ積極的な動きを呼びかけた、国連気候パネルの最新報告が引用されている。しかし、それを実現する方法に関する気候パネルの知見については触れていない。昨年10月に公表され …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  2. The UK’s generational tobacco ban might not work. I’m supporting it anyway. 2009年以降生まれには一生売らない——英「たばこ根絶」への賭け
  3. Claude Science is Anthropic’s newest flagship product アンソロピックが「Claude Science」、創薬に照準
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る