KADOKAWA Technology Review
×
7/30イベント「バイブコーディングの正体——AIエージェントはソフトウェア開発を変えるか?」申込受付中!
新薬開発の最新トレンド、病気の発症を抑える遺伝子変異を探せ
Dr Graham Beards | Wikipedia
ニュース Insider Online限定
The secret to a new drug could be hiding in your genes

新薬開発の最新トレンド、病気の発症を抑える遺伝子変異を探せ

遺伝子的には重篤な病気が発症しているはずなのに、実際にはそうでない人たちがいる。そうした人たちは、疾患を引き起こすのとは別の遺伝子変異が、病気の発症を抑えていることが多い。遺伝子データベースからこうした人たちのDNAデータを掘り起こすことが、新薬開発の最新トレンドとなっている。 by Antonio Regalado2019.03.05

重篤な血液疾患の1つである鎌状赤血球症は、ヘモグロビン遺伝子内における一文字の綴りミスによって発症する。ただしそのエラーを受け継いだ人たちが全員、鎌状赤血球症を発症するわけではない。

2008年には科学者たちはその理由をすでに突き止めていた。鎌状赤血球症の遺伝子エラーを受け継いだ人たちの中には、2つ目の遺伝子異常を持つ人がいる。そうした人たちは体内で常に胎児ヘモグロビンを作り出し続けている。胎児ヘモグロビンは、酸素を運ぶ物質の一種で、通常は胎児が出生した時点で生成されなくなるものなのだ。

この2つ目の遺伝子変化が変更遺伝子として作用し、疾患に対する遺伝子的抑制剤として働く。

現在、メイズ・セラピューティクス(Maze Therapeutics)というスタートアップ企業が、サード・ロック・ベンチャーズ(Third Rock Ventures)やアーク・ベンチャー・パートナーズ(ARCH Venture Partners)などの投資家から1億9100万ドルもの巨額の出資を得て、変更遺伝子を研究して鎌状赤血球症患者の症状を最小限に抑える新薬を作り出そうとしている。

メイズ・セラピューティクスは、病気にかかる人がいる一方で、かからない …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. Trajectory of U35 Innovators: Yoichi Ochiai 落合陽一:「デジタルネイチャー」の表現者が万博に込めた思い
  4. Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る