深層学習でカクテルパーティ効果を再現、「脳を読む」補聴器
騒音の中で会話をする相手の声だけを判別できる「カクテルパーティ効果」を再現できるシステムをコロンビア大学の研究チームが開発している。測定した脳波のデータをもとに、集中したい人の声だけを増幅できるという。 by Charlotte Jee2019.05.20
騒がしいパブの中で、親友と楽しく話している場面を想像してみよう。騒々しい中でも、あなたは周囲の雑音にフィルターをかけて相手の声に集中し、友人が語るとっておきの噂話をすべて聴き取ることができる。「カクテルパーティ効果」と呼ばれるこの現象は、多くの人に自然に起こるものだ。しかし補聴器の利用者にとって、無関係の雑音に対処することは難しく、非常にフラストレーションを伴う場合がある。
だが、そんな状況を一変させる可能性のある新しいシステムが開発されている。このシステムは、ユーザーが声を聞きたがっている相手を感知し、その人の声を増幅させることが可能なのだ。聞き手の意図を把握するために、このシステムは音を処理する機能を持つ脳の聴覚野(耳のすぐ内側にある)に取り付けた電極を使用する。脳がそれぞれの声に集中すると、システムはそれぞれの話者に対応する電気的なシグネチャーを生成する。
異なる声を区別するよう訓練された深層学習アルゴリズムが、このシグネチャーを、その場にいるさまざまな話者のシグネチャーと比較し、一致度の最も高い声を増幅させ、聞き手が聴こうとしている声に集中するのを …
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