KADOKAWA Technology Review
×
【4/24開催】生成AIで自動運転はどう変わるか?イベント参加受付中
欧州の人気ユーチューバーらが労組結成、運営の透明化を要求
Christian Wiediger | Unsplash
倫理/政策 Insider Online限定
How YouTubers plan to take on YouTube for better working conditions

欧州の人気ユーチューバーらが労組結成、運営の透明化を要求

ユーチューバーたちが組織した組合が、欧州最大の労働組合と手を組んだ。ユーチューブに対して運営上の意思決定を透明化するように要求すると同時に、アップロードした動画の使用方法の決定についてコンテンツ制作者にアクセス権がないのはGDPR(EU一般データ保護規則)に違反していると訴えている。 by Angela Chen2019.08.19

組織労働者の力と訴訟の脅威によって、ユーチューブにユーザーをもっと公正に扱うように迫ることはできるのだろうか? 7月末に欧州最大の労働組合との提携を決めたユーチューバー組合(Youtubers Union)は、そうなることを望んでいる。同組合はユーチューブに対し、運営上の決定の透明化を要求するとともに、同社の現在の運営手法がデータプライバシー保護法に違反していると訴えている。

異例のアプローチだ。ユーチューバー組合の提携相手であるドイツ最大の金属労働組合、IGメタルは強い政治的影響力を持っている。一方で、ユーチューバー組合を創設したヨルグ・スプレイヴによれば、ユーチューバー組合は従来の労働組合というよりもフェイスブック上で組織された「インターネット・ムーヴメント」に近い。 組合員は組合費を支払っていないし、ユーチューブから承認もされていない。ユーチューバー組合の法的申し立ての一部は誇張されているところもある。だがそれでも、「フェアチューブ(FairTube)」と呼ばれるこの新たな協力体制によって多くの公的圧力が生じ、ユーチューブのコンテンツ制作者との付き合い方に変化をもたらすかもしれない。

スリングショット(ゴム銃)を紹介するユーチューブ・チャンネルの制作者で、200万人を超えるチャンネル登録者を抱えるスプレイヴによると、 問題は、彼自身のようにユーチューブを主な収入源としているコンテンツ制作者が多数存在するにもかかわらず、ユーチューブ側は重大な判断を下す際にその点を考慮に入れないことだという。  たとえば、ユーチューブは動画の非収益化や著作権をめぐる争い、コンテンツ警告の扱いに関する規定を変更できるが、制作者たちには何の権限もない。こうした背景を踏まえ、フェアチューブはとりわけ、コンテンツの収益化に関わるすべての決定を透明化することを要求している。さらに、 動画やチャンネルに対する個々の決定についてユーチューブ側が説明し、制作者が決定内容に意義を唱えられるようにしたいとしている。

フェアチューブ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る