KADOKAWA Technology Review
×
10/9「生成AIと法規制のこの1年」開催!申込み受付中
「老化防止薬」がもうすぐやってくる
SIMON SIMARD
生物工学/医療 無料会員限定
The anti-aging drug that’s just around the corner

「老化防止薬」がもうすぐやってくる

臓器移植の拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤「ラパマイシン」が、老化に伴う免疫低下を改善することが動物実験で分かっている。人にも同じ効果が見られれば、人の老化の予防に役立つかもしれない。最初の研究結果は、1年以内に明らかになるという。 by Stephen S. Hall2019.09.12

老化を防ぐ薬として現在有望視されている医薬品の1つは、紆余曲折の歴史を歩んできた。1999年、米国食品医薬局(FDA)によって、ラパマイシンは移植された臓器の拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤として認可された。のちに科学者は、ラパマイシンがあらゆる種類の生物学的プロセスに影響を与えることを発見した。「哺乳類ラパマイシン標的タンパク質」(mTOR)は、免疫機能や炎症と関係している。

実験により、酵母、線虫、マウスに対して、ラパマイシンが寿命を伸ばす効果を持つことが分かった。同じ効果を、人間にも期待できるだろうか?

いまのところ、ラパマイシンが人間の老化を遅らせることを確かめるための厳密な実験方法は存在しない。むしろ、研究者は、老化の重要な側面である、免疫機能の低下に注目してきた。そして、ラパマイシンの効果を模倣した医薬品が、高齢者の免疫機能を高めることができるかどうかを明らかにしようとしている。

ジョーン・マニックは、2017年にノバルティス(Novartis)からスピンアウトしたバイオテクノロジー企業「リストアバイオ(resTORbio)」の共同創業者であり最高医務責任者(CMO)だ。リストアバイオが臨床試験を実施しているRTB101は、老化に伴う免疫反応の低下を遅らせる薬の一番の候補となっている。マニックCMOによれば、RTB101のアンチ・エイジング効果についての最初の研究結果は、1年以内に明らかになるという。

Q:2009年、実験により、ラパマイシン経路を阻害する分子が実験動物の寿命を伸ばすことが分かりました。この研究結果については注目していましたか?

A: はい。2010年のちょうどその頃、私はノバルティスで、新しい適応症を発見するための部門(New I …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
  2. A brief guide to the greenhouse gases driving climate change CO2だけじゃない、いま知っておくべき温室効果ガス
  3. Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
  4. Sorry, AI won’t “fix” climate change サム・アルトマンさん、AIで気候問題は「解決」できません
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る