KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
バクテリアが情報をつなぐ「バイオIoT」を提唱する新研究
michael schiffer / unsplash
生物工学/医療 Insider Online限定
The scientists who are creating a bio-internet of things

バクテリアが情報をつなぐ「バイオIoT」を提唱する新研究

世界中のあらゆるモノがインターネットに接続する中、バクテリアを使った新たなIoTの実現可能性が浮上している。バクテリアは優秀な情報伝達デバイスになる一方で、生物ならではの問題点も残している。 by Emerging Technology from the arXiv2019.12.10

IoTに使う理想的なデバイスを設計するとしよう。どのような機能が必須だろうか?まず、他のデバイスや、デバイスを使う人間と通信できなくてはならない。情報を保管・処理する機能も必須だろう。自身の環境をモニタリングするセンサーも欠かせない。最後に、内蔵モーターのようなものも必要だろう。

このようなIoTに理想的な機能を多く備えたデバイスは巷にあふれている。その大部分は、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)やアルディーノ(Arduino)ボードなど、広く入手できる低コストなデバイスをベースにしている。

だが、同様の機能を持つ機械セットは他にも豊富に存在すると述べるのが、ロンドン大学クイーンメアリー校に在籍中の博士課程生ラフェエル・キムと、ステファン・ポスラド博士だ。2人はバクテリアに着目した。バクテリアは効果的な通信が可能で、エンジンやセンサーを内蔵しており、さらに強力な情報の保管・処理構造も持つと指摘する。

バクテリアのこうした特徴から興味深い可能性が浮上すると指摘する。バクテリアを使って生物学的なIoTを作ってみるのはどうだろうか? 2人は現在、行動を喚起するためにバイオIoTを実現できる可能性のあるアイデアや技術をいくつか提示している。

バクテリアが情報を保管・処理する方法は新たな研究領域であり、研究の大部分は働き者のバクテリアである大腸菌に注目している。これらの(そして他の)バクテリアは、「プラスミド」という環状のDNA構造の中に情報を蓄える。そして「接合」という過程で、プラスミドをある個体から別の個体へと送る。

 

昨年、当時イタリアのパドヴァ大学の修士課程に在学していたフェデリコ・タべラのチームが、非運動性の大腸菌が運動性のバクテリアに「Hello world」というシンプルなメッセージを送る回路を構築した。この運動性のバクテリアは、受け取ったメッセージ情報を別の場所に送った。

このような情報伝達はバクテリアの世界では常時起きており、高度に複雑なネッ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る