KADOKAWA Technology Review
×
ロボット版「イメージネット」目指す、UCバークレーの巨大映像DB
Getty
人工知能(AI) 無料会員限定
Welcome to robot university (only robots need apply)

ロボット版「イメージネット」目指す、UCバークレーの巨大映像DB

ニューラル・ネットワークを用いてロボットに新しいタスクを学習させようとすると、大量の学習用データを用意する必要がある。カリフォルニア大学バークレー校の研究者らは、ロボットを動かすニューラルネットを訓練するための映像を大量に蓄積した公開データベースを作成しようとしている。 by Emerging Technology from the arXiv2019.11.15

人工知能(AI)革命の陰の立役者として、データベースである「イメージネット(ImageNet)」の存在がある。プリンストン大学の研究者が開発したイメージネットには、約1400万枚の画像が含まれ、各画像には画像内容を説明する注釈テキストがクラウドソーシングで付けられている。

イメージネットは現在の高性能ニューラル・ネットワークの多くが初期経験を積むのに使う重要なデータベースだ。ニューラル・ネットワークはデータベース上の画像と付随テキストを使って学習し、データベースが大きいほど学習効果が上がる。イメージネットやその他の画像データセットがなければ、最も高性能なニューラル・ネットワークでさえ何も認識できない。

ロボット工学者は現在、同様の手法で、映像を使って、周囲の環境との相互作用の方法をニューラル・ネットワークに学習させたいと考えている。カリフォルニア大学バークレー校の大学院生であるスディープ・ダサリらの研究チームが作成している「ロボネット(RoboNet)」と呼ばれるデータベースは、まさにその目的を達成するためのものだ。ロボネットには、テーブルの向こう側へカップを動かすロボットの映像データなど、動作中のロボットの注釈付き映像データが多数含まれている。ロボネットのデータは誰でもダウンロードでき、ロボットを制御するニューラル・ネットワークの訓練に使える。訓練によって、たとえば、そのニューラル・ネットワークがカップを扱うのが初めてだとしても、カップを動かせるようになる。

ダサリらの研究チームは、ロボネットを、ほぼすべてのロボットに対し、ほぼすべてのタスクの実行を事前に訓練させられるリソースに成長させたいと考えている。いわば、一種の「ロボット大学」である。

ロ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
  2. This artificial leaf makes hydrocarbons out of carbon dioxide 人工光合成が次段階へ、新型人工葉が炭化水素合成に成功
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  4. AGI is suddenly a dinner table topic 膨らんではしぼむ「AGI」論、いまや夕食時の話題に
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る