KADOKAWA Technology Review
×
An Amazon Drone Has Delivered Its First Products to a Paying Customer

アマゾン初のドローン配達、利用可能なのは近所の二人だけ

アマゾン初の自律型航空配送は、ドローンテクノロジーの重要な前進だ。 by Jamie Condliffe2016.12.15

アマゾンは、同社初の商用ドローン宅配に成功した。アマゾンの航空配達便「プライム・エア(Prime Air)」は、スタント(人目を引くための行為)ではあるが、少なくとも現時点でテクノロジーが何かの役に立つ可能性があることを示している。

MIT Technology Reviewは以前からドローン宅配の実験に懐疑的な見方をしてきた。現時点のドローン宅配は技術的イタズラ(ギミック)の域を超えていない。限られた電池寿命とペイロード(貨物積載量)は、ブリトー(メキシコ料理の一種)ほどの大きさと重量までしか、アマゾンのドローンが配達できないことを意味する。

12月7日に配達され、12月14日に発表されたアマゾン初のドローン宅配は、配達可能な商品の意味ではニュース価値がない。ドローンは、アマゾンのFire TV Stick(動画サービスが見られるテレビ直づけの小さな装置)とポップコーン一袋を幸運な初の顧客に運んだだけだ。現時点で、実際にドローン宅配テストで配達したのは、合計2人(注意:入力ミスではない)のベータユーザーでしかない。

それでも、このニュースには価値がある。

確かに実現には長い時間がかかった。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOがテレビ番組『60ミニッツ(Sixty Minutes)』に出演し、同社が商品配達にドローンを使いたいと発表してからほぼ3年になる。計画の行く手を阻んできたのは特に規制だ。商用ドローンに飛行許可を与えるはずの連邦航空局(FAA)の新規制は、アマゾンの助けにはならなかった。操縦者の視界内でしか飛行が許可されず、ドローン配達は原則として認められなかったのだ。

そこでベゾスCEOは、英国民間航空局と契約し、英国でドローンを試験することにした。

英国ケンブリッジ郊外にある実験場に、アマゾンはドローン用の離着陸場を備えた小さなフルフィルメント・センターを建てた。最大約2kgの注文品を載せたドローンは常に122m以下の高度を保って、GPSにより自律的に顧客の家を探す実験のためだ。

現在、近くに住む2人の顧客に配達するだけで、本当の意味での宅配というより、明らかに宣伝用のスタントではある。しかしアマゾンは、宅配件数はすぐに数十件になり、やがて数百件になるという。 最終的に、アマゾンはもちろん、空が小さなドローンで覆われることを思い描いている。

顧客は、軽量でコンパクトな限られた商品しか注文できないが、アマゾンの小さなフルフィルメント・センターからの「空輸」計画は、顧客がお金を払って実際に商品を購入できるため許可された。無人機で遠隔地の医療施設を往復して血液と医薬品を運ぶジップラインのルワンダでの実験とともに、アマゾンのドローン宅配は自律型の空中宅配が、妄想にとどまらないことを示している。

とはいえ、規模を拡大するには障壁もある。小さな商品を発送するなら構わないが、ドローンの積載可能量と電池寿命か改善されない限り、克服できない。また、ドローンの規制問題は、英国の静かな片田舎では無視できるが、人の多い都心部では対策が必要だ。

しかし今、3年かけて実現したアマゾン初の顧客へのドローン宅配によって、商品の航空配達が盛んになる未来が、思っていたほど遠くないことが見えてきた。

(関連記事:Amazon, TechCrunch, “アマゾンのドローン配達 米の規制避け英で試験飛行,” “Why Rwanda Is Going to Get the World’s First Network of Delivery Drones,” “Amazon Lays Out Its Vision for a Sky Thronging with Delivery Drones”)

人気の記事ランキング
  1. Will the universe’s expansion mean planets no longer orbit stars? 読者からの質問:宇宙が膨張したら重力が機能しなくなりますか?
  2. The landing site for NASA’s Mars 2020 rover might be home to fossilized life 生命の痕跡見つかるか? マーズ2020着陸地に化石の可能性
タグ
クレジット Image courtesy of Amazon
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
宇宙ビジネスの時代

かつて国家主導だった宇宙開発がいま、大きく変化している。テクノロジーの進化とリスクマネーの流入によって民間企業による宇宙開発が加速し、自社の事業拡大に宇宙を活用しようとする「非宇宙」企業やベンチャー企業の動きも活発だ。いまなぜ「宇宙」なのか? そのヒントとなる記事を集めた。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Will the universe’s expansion mean planets no longer orbit stars? 読者からの質問:宇宙が膨張したら重力が機能しなくなりますか?
  2. The landing site for NASA’s Mars 2020 rover might be home to fossilized life 生命の痕跡見つかるか? マーズ2020着陸地に化石の可能性
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る