KADOKAWA Technology Review
×
新型コロナ、「抑制なし」なら米国で最大170万人が死亡か
AP
Worst-case coronavirus scenario: 214 million Americans infected, 1.7 million dead

新型コロナ、「抑制なし」なら米国で最大170万人が死亡か

米国疾病予防管理センター(CDC)は、人から人への感染を防ぐ対策を取らなかった場合、最終的には米国人口の65%ほどが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染すると予測している。米国の240万人から2100万人が入院し、20万人から170万人が死亡するとの予測もある。 by Antonio Regalado2020.03.15

ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国疾病予防管理センター(CDC)は、最終的には米国人口(日本版注:2018年時点で約3.3億人)の65%ほどが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するかもしれないと予測している。

報告書によると、CDCは疾病モデルを50の専門家チームに伝えており、各チームはそのモデルに基づいて、どのくらいの速さでウイルスが広がるか、コロナウイルスが原因となるインフルエンザに似た症状がどの程度深刻化するかなどを予測しようとしている。

最悪の場合の数値は、人から人へのウイルスの感染を抑制する対策が取られなかった場合に起こりうる事態の予想に基づいている。対策がなければ、ウイルスを持った各人がそれぞれ他の2~3人に感染させて感染が拡大する。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、最終的には米国の240万人から2100万人が病院、救急病棟、ICU(集中治療室)に入ることになるかもしれないとCDCは予測しているという。いくつかのモデルでは、死者数は20万人から170万人となっている。世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスによる致死率は3.5%ほどだと推測している。

それに対し、米国でインフルエンザで死亡している患者は毎年3万人程度だ。

新型コロナウイルスは昨年末に中国で広がり始め、これまで100カ国以上で感染者が確認されている。

ウイルス感染の拡大を抑制するために、一般的に人々が使える基本的な手段は、人と距離を置くことだ。会議や会合は中止され、学校は休校となり、NBA(北米プロバスケットボールリーグ)もシーズンを中断した。イタリアでは当局が企業や博物館、歴史的名所などを閉鎖している。

これらの行動がモデルに組み込まれれば、将来の予測も少し悲惨さが和らぐかもしれない。

ホワイトハウスは国民に対し、コロナウイルスのアウトブレイクについて正確な推定値を提供しておらず、シアトルやボストン、そして少なくとも46州でのアウトブレイクへの対応に混乱が増している。オハイオ州のマイク・デワイン知事は、州内にまだ診断されていない患者が10万人いると考えていると述べた。

ニューヨーク・タイムズ紙が入手したという予測は、ハーバード大学などの疫学者が導き出した予測値とも似ており、新型コロナウイルスは今後1年にわたり広範囲に広がるだろうと想定している。

パンデミック(世界的流行)の正確な推移をモデル化できるかどうかは、より良い科学的情報が得られるかどうかにかかっている。ウイルスへの対応策にも左右されるし、学校閉鎖の影響や医療設備の確保にも影響を受ける。

「私たちは非常に慎重に、新型コロナウイルス感染症の局所的流行や、ウイルスについて分かっていることに適切に考慮して、科学的に有効なモデリングをするようにしています」と、CDCから説明を受けた専門家の1人、アイラ・ロンギニ教授(フロリダ大学)はニューヨーク・タイムズ紙に述べた。「うまく行くとは限りません。過大評価するとすべての人がパニックになりますし、過小評価すると独りよがりになります。慎重にしなければなりません」。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. We’re not going back to normal 「新型コロナ後」の世界は どう変化するか?
  2. A supermassive black hole lit up a collision of two smaller black holes ブラックホールの合体を光で初観測か、カリフォルニア工科大
  3. No, coronavirus apps don’t need 60% adoption to be effective 日本でも始まる新型コロナ追跡アプリ、「6割普及」の正しい捉え方
  4. The startup making deep learning possible without specialized hardware GPU不要、汎用CPUで高速深層学習を実現するMIT発スタートアップ
アントニオ レガラード [Antonio Regalado]米国版 医学生物学担当上級編集者
MIT Technology Reviewの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるかについて追いかけ、記事を書いています。2011年7月にMIT Technology Reviewに参画する以前はブラジルのサンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス誌や他の刊行物向けに記事を書いていました。2000年から2009年にかけては、ウォールストリートジャーナルで科学記者を務め、後半は海外特派員を務めていました。
10 Breakthrough Technologies 2020

気候変動から量子コンピューティング、人工衛星群まで。
MITテクノロジーレビューが選んだ、世界を変える10大テクノロジー。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. We’re not going back to normal 「新型コロナ後」の世界は どう変化するか?
  2. A supermassive black hole lit up a collision of two smaller black holes ブラックホールの合体を光で初観測か、カリフォルニア工科大
  3. No, coronavirus apps don’t need 60% adoption to be effective 日本でも始まる新型コロナ追跡アプリ、「6割普及」の正しい捉え方
  4. The startup making deep learning possible without specialized hardware GPU不要、汎用CPUで高速深層学習を実現するMIT発スタートアップ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る