新型コロナ、正しい情報提供にチャットボットも一役
世界保健機関(WHO)、米国疾病予防管理センター(CDC)、英国国民健康サービス(NHS)といった、世界各地の保健当局がチャット・ボットを駆使して新型コロナウイルス関連の正しい情報提供に努めている。 by Charlotte Jee2020.04.01
米国疾病予防管理センター(CDC)は、熱やせき、息切れなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が疑われる症状がある場合の対処法を教えてくれるオンライン・ボットを導入した。医療体制が切迫していく中で、この自己診断ボットが症状による判定をする役割を果たすことが期待される。米国での新型コロナウイルスの症例報告は4万6000件を超えた。今や、中国、イタリアに次いで世界で3番目に多い(日本版編注:3月31日時点での米国の感染者数は14万人を超え、中国、イタリアを抜いた)。
このボットは、ユーザーの年齢や性別、居住地域、発生している症状、新型コロナウイルス患者との接触歴などを尋ねる。その回答に基づき、次にとるべき最良の手順を推奨する。「911番に電話をかける」から「自宅で待機して、健康に留意する」まで、さまざまな対応が用意されている。ボットは医師の診断に代わるものではなく、診断・治療目的での使用も意図していない。しかし、もっとも緊急に治療を必要としている人を見分け、病院の負担をいくらか軽くすることに役立つだろう。ボットの開発にはマイクロソフト・アジュール(Azure)の「ヘルスケア・ボット(Healthcare Bot)」ソフトウェアが使われた。
世界各地の保健機関は、新型コロナウイルスに関する差し迫った疑問に答えるためにチャット・ボットを活用している。世界保健機関(WHO)は、ワッツアップ(WhatsApp)と提携して信頼できる情報を提供している。ワッツアップで「+41 79 893 1892」と入力すると、感染データや誤った通説、旅行の際の助言などが提供されるオプション・メニューをWHOが返信する。インドもワッツアップを使って似たようなボットを構築しており、英国国民健康サービス(NHS)もワッツアップと同様のボットを計画中だ。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。