KADOKAWA Technology Review
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Tim Cook’s New Year’s Resolutions

ティム・クックCEOの
新年の抱負を妄想する

2017年、アップルのティム・クックCEOがしたはずの決意について、テクノロジーレビューのナネット・バーンズ上級編集者(ビジネス担当)が推測した。 by Nanette Byrnes2017.01.03

新年を迎えて、多くの人は今年はジムに通おうとか、無駄使いをやめようと決意する。しかし、時価総額で世界最高の企業のCEOには別の悩みがある。アップルのティム・クックCEOが2017年にどんな抱負を抱いたか、MIT Technology Reviewの昨年の記事から予測してみよう。

1. 中国で製造し続ける

ドナルド・トランプ次期大統領は、製造場所を米国に移転するようクックに求めたという。また、アップルからiPhone製造を受託しているフォックスコンは、米国への投資計画があるという。しかし、アップルが米国内でiPhoneを製造しそうにないもっともな理由がいくつかある。まず、最新のiPhoneの製造コストは649ドル以上で、米国内に製造を移転すると値段が大幅に上がることになる。また、ハーバード・ビジネス・スクールのウィリー・シウ教授によると、仮にアップルが米国内に製造を移転したくても、現在中国のスマートフォン製造業を構築している裾野の広いサプライチェーンと専門技術は、他の地域ではまず再現できないという。中国の電話メーカーの売り上げはアップルより多いが、「アップル」ブランドは中国国内で非常に強力だ。結局、生産を米国に移してもアップルは世界最大の中国市場におけるシェアを伸ばす(米国に製造拠点を移す経済合理性がない)のだ。

2.税理士との面会時間を増やす

米国の法人税率はトランプ政権下で下がるかもしれない。アップルは現在、海外の現預金と投資口座に2150億ドルを保有している。この現金を米国の課税対象にすることを検討する前に、まずは法人税を減少すべきだ、とクックいう。法人税が下がるまでは、海外の利益をコーク(アイルランド)にある海外法人に集約する、アップルの複雑な節税手法をクックが断固として維持し続けるのは確実だ。この海外法人はアイルランドによる優遇税制のおかげでほとんど税金を支払っていない。しかし、租税回避を減らす新たな国際協定の下で、アップルは創造的な部門や研究部門も含めて、米国外により多くの事業を移転させることさえあり得ると、進歩的政策研究所(Progressive Policy Institute:PPI)のエコノミストであるミシェル・マンデルは予想する

3. アップル・ペイを推進する

2015年にデジタル決済システムを発表して以来、iPhoneを読み取り機にかざして商品を購入できるようになった。しかし、アップル・ペイ(Apple Pay)はほとんど進展していない。アップル・ペイ機能が搭載されているiPhoneを持つ20人のうち、アップル・ペイを使っているのはたったひとりなのだ。とはいえ、決済は非常に大きなチャンスであり、アップルはアップル・ペイを諦めていない。

4.秘密を少し明らかにする

創業者のスティーブ・ジョブズの下で、アップルは秘密主義で悪名高かった。しかし今後は、人工知能についてアップルは情報を少しは共有するかもしれない。グーグルやバイドゥ、フェイスブック、マイクロソフト、ツイッター、ウーバー等、多くのシリコンバレー企業同様、アップルは人工知能を大きく推進している。しかし、人工知能の研究を極秘にすることは、社内の努力にブレーキをかけかねないことにアップルは気付いた。10月、アップルは第一線で活躍するAI研究者のルスラン・サラクトゥディノフをAI研究の所長として迎え入れた。他のAI研究者の例と同様、サラクトゥディノフはカーネギーメロン大学で教鞭を執り続ける。サラクトゥディノフが専門の深層学習とは、コンピューターが非常に膨大な学習データを取り込むことで、与えられた仕事をこなせるようになる。サラクトゥディノフはおそらく、アップルの研究者チームを育成しつつ、大学での基礎研究を発表するはずだ。アップルは、自然言語処理だけでなく音声認識や画像認識にも取り組むだろう。

5.いままでどおりのことを、このままやっていこう

クックCEOがアップルの トップに君臨した5年間、アップル・ウォッチやアップルTVなど、期待外れな製品で何度か非難を浴びた。それでも、経営に関するクックの見解は売上高を倍増させた。クックはiPhoneに匹敵する製品を作り出せなかったことを心配しても仕方がない。そんなことは滅多に起きることではない

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ナネット バーンズ [Nanette Byrnes]米国版 ビジネス担当上級編集者
ビジネス担当上級編集者として、テクノロジーが産業に与えるインパクトや私たちの働き方に関する記事作りを目指しています。イノベーションがどう育まれ、投資されるか、人々がテクノロジーとどう関わるか、社会的にどんな影響を与えるのか、といった領域にも関心があります。取材と記事の執筆に加えて、有能な部下やフリーライターが書いた記事や、気付きを得られて深く、重要なテーマを扱うデータ重視のコンテンツも編集します。MIT Technology Reviewへの参画し、エマージングテクノロジーの世界に飛び込む以前は、記者編集者としてビジネスウィーク誌やロイター通信、スマートマネーに所属して、役員会議室のもめ事から金融市場の崩壊まで取材していました。よい取材ネタは大歓迎です。nanette.byrnes@technologyreview.comまで知らせてください。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

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