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「検閲」批判繰り返す、トランプ大統領のあきれたSNS戦略
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The exhausting playbook behind Trump’s battle with Twitter

「検閲」批判繰り返す、トランプ大統領のあきれたSNS戦略

トランプ大統領が自身のツイートに警告ラベルを付けられたことに反発している。トランプ大統領は以前から、「ソーシャルメディア・プラットフォームが保守の声を封殺している」と公言して支持者の歓心を買ってきた。 by Abby Ohlheiser2020.06.02

ブライトバート(Breitbart、米国の保守系オンラインニュースサイト)のマイロ・ヤノプルス記者は4年前、ホワイトハウスの記者会見の中継中にツイッターを批判した。ビデオゲーム業界に関わる女性たちをターゲットにした嫌がらせキャンペーンを擁護したことで有名なヤノプルス記者は、ツイッターのアカウント名の後に付く認証バッジ(青い小さなチェックマーク)をツイッターに剥奪されたと怒りをあらわにしていた。嫌がらせの煽動を禁止する規約に繰り返し違反したことが認証取り消しの理由だとツイッター側は説明したが、ヤノプルス記者は実際には別の理由があると主張した。

「非常に明白になりつつあるのは、とりわけツイッターとフェイスブックが保守やリバタリアン的な考え方を検閲し、不当に扱っていることです」。ヤノプルス記者は2016年3月、当時オバマ政権の報道官だったジョシュ・アーネストに対してそう語った。その年のうちに、女優のレスリー・ジョーンズに対する嫌がらせキャンペーンに関わったことを理由に、ツイッターはヤノプルス記者のアカウントを完全に凍結した。レスリー・ジョーンズは映画「ゴーストバスターズ」のリブート版に出演している。同作のオリジナル版では男性4人が主役を務めていたが、リブート版では主役4人が女性に変更されたことで女性差別者たちは不満を募らせていた。アカウントが凍結されたことに対してヤノプルス記者は、「(ツイッターは)保守主義者たちにとって立ち入り禁止区域になりました」と主張した。

以来、他の保守や極右主義者たちも同様の批判を繰り返している。嫌がらせやデマに関してツイッターがポリシーを適用するのは、反保守主義のバイアスがかかった反対運動だというのだ。ヤノプルス記者の言い分はその後、保守派の主流メディアで取り上げられた。そして今年5月26日、ツイッターがトランプ大統領の2件のツイートに対し、郵便投票に関する誤った主張が含まれているとして「ファクトチェック(事実確認)」を促すラベルを付けたことで、この問題は山場を迎えている。

トランプ大統領はツイッターの行為を検閲だと批判し、対処すると約束。保守的な視点で検閲だと認められる行為をした大手ソーシャルメディア企業に対して、罰則を科す可能性がある大統領令に署名した。

大手ソーシャルメディア企業全般でこれまで繰り広げられてきた対立によって、問題がエスカレートするのは不可避のようだ。だが、特にツイッターにとっては、ヤノプルス記者のホワイトハウスでの一件が伏線になっている。デマや嫌がらせ、過激な主張の増長といったことについてSNSの各プラットフォームが自らの役割を自覚し始める中、かつてはツイッターの規約の中であまり注目されてこなかったコンテンツのモデレーションに関する議論に、 …

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