KADOKAWA Technology Review
×
無料の会員登録で、記事閲覧数が増えます
知性を宿す機械 Why Some Autonomous Cars Are Going to Avoid the Internet

グーグルの自動運転車はなぜインターネット接続を切断したのか?

アルファベット傘下の自動運転車開発企業ウェイモは、自社製の車両がオフラインなのはハッキング防止が目的だと認めている。 by Jamie Condliffe2017.01.11

自動運転車は本質的に、車輪の付いた大型コンピューターだ。であれば、セキュリティのためインターネットに接続しない自動運転車があっても不思議ではない。

アルファベット傘下の自動運転車開発会社ウェイモのジョン・クラフチックCEOがフィナンシャル・タイムズ紙(ペイウォール)に語ったところによれば、ウェイモの自動運転車はまれにしかインターネットに接続しない。「弊社の車は必要なときにしか外の世界と通信しません。したがってハッキングされ、車に侵入されるような常時接続回線はないのです」

この方針はまったく驚くに当たらない。2015年にセキュリティ研究者はジープ・チェロキーに搭載されたコンピューター・システムを遠隔操作でハッキングし、人間が運転中にブレーキを無効にできることを実証した。この類の話を聞けば、ドライバーもメーカーも、コンピューターが運転する車がインターネットに接続されていたら、運転を全面的に車任せにはしたくなくなる。

Waymo's CEO, John Krafcik, doesn't want his cars to be hacked.
ウェイモのジョン・クラフチックCEOは自社の車をハッキングされたくない

ウェイモが自社製の車をオフラインにできるのは、ネットワーク接続のない車載コンピューターに重要なシステムがすべて格納されているからだ。システムは、人間のドライバーと同様、走行中の道路情報を読み取り、どう行動するかを決定するので、曲がり角にさしかかる度にクラウドからデータをダウンロードする必要はない。

BMWやアウディなど、一部のメーカーは車同士を通信させることや車に交通信号などの路上の公共物と通信させることまで計画している。実現すれば、たとえば情報に基づいて賢く他の車線に合流したり、ブレーキをかけるタイミングをより正確に予測したり、適切な速度で合流点に近づいたりできる。だが、それには常時接続のデータ通信も必要だ。

もちろん、インターネット接続された自動車も現在道路を走っている。たとえばテスラ車はインターネットに接続されているだけでなく、自動運転機能も備えている。MIT Technology Reviewのウィル・ナイト記者が説明しているとおり、イーロン・マスクが率いるテスラでは、車のさまざまな機能をそれぞれ個別のコンピューター・システムで制御することで、自動車のセキュリティを強化している。

だが、私たちがネット接続型機器の台頭から学んだのは、ハッカーは必ず欠陥を見つける機略に富んだ連中ということだ。最近、世界最大規模のコンピューター・セキュリティ・カンファレンスであるデフコンは、カーハッキングに特化したセクションを開催している。コンピューター・システムをバラバラに分離することはセキュリティ対策の第一歩だが、筋金入りのハッカーが脆弱性を見つける可能性はまだある。

したがって、今のところ、自動運転車がハッキングされうる問題は未解決のままだ。なるべく長い間、車をオフラインにするウェイモの単純な解決策は当面は有効だ。しかし、そのままではインターネットに接続できる車のメリットを活かせない。つまり、オフラインにして身を潜めるのではなく、ハッカーに正面から立ち向かってセキュリティを強化する他の手段を見つける必要があるのだ。

(関連記事:Financial Times, “Carmakers Accelerate Security Efforts after Hacking Stunts,” “Chatty Cars Are Getting Out on the Road,” “信号機メーカーに存続危機 アウディが車路間通信の新車”)

人気の記事ランキング
  1. Biological Teleporter Could Speed Outbreak Response, Seed Life Through Galaxy 史上初の生体転送機、 米国のバイオ企業が披露
  2. Why “Magnetic Tape” is to be restored in the IoT era なぜ今、磁気テープなのか? IoT時代に躍進する データストレージ
  3. Verily Has Built a Robot to Release 20 Million Sterile Mosquitoes in California グーグルが蚊の大量飼育ロボットを開発、2000万匹を放出
  4. It Pays to Be Smart 日本企業がMITの スマート・カンパニーに ランクインしなかった理由
  5. First Object Teleported from Earth to Orbit 地上から衛星への量子テレポーテーションに初成功、中国チーム
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
「知性を宿す機械」の記事
人気の記事ランキング
  1. Biological Teleporter Could Speed Outbreak Response, Seed Life Through Galaxy 史上初の生体転送機、 米国のバイオ企業が披露
  2. Why “Magnetic Tape” is to be restored in the IoT era なぜ今、磁気テープなのか? IoT時代に躍進する データストレージ
  3. Verily Has Built a Robot to Release 20 Million Sterile Mosquitoes in California グーグルが蚊の大量飼育ロボットを開発、2000万匹を放出
  4. It Pays to Be Smart 日本企業がMITの スマート・カンパニーに ランクインしなかった理由
  5. First Object Teleported from Earth to Orbit 地上から衛星への量子テレポーテーションに初成功、中国チーム
ザ・デイリー重要なテクノロジーとイノベーションのニュースを平日毎日お届けします。
公式アカウント