KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
Why Some Autonomous Cars Are Going to Avoid the Internet

グーグルの自動運転車はなぜインターネット接続を切断したのか?

アルファベット傘下の自動運転車開発企業ウェイモは、自社製の車両がオフラインなのはハッキング防止が目的だと認めている。 by Jamie Condliffe2017.01.11

自動運転車は本質的に、車輪の付いた大型コンピューターだ。であれば、セキュリティのためインターネットに接続しない自動運転車があっても不思議ではない。

アルファベット傘下の自動運転車開発会社ウェイモのジョン・クラフチックCEOがフィナンシャル・タイムズ紙(ペイウォール)に語ったところによれば、ウェイモの自動運転車はまれにしかインターネットに接続しない。「弊社の車は必要なときにしか外の世界と通信しません。したがってハッキングされ、車に侵入されるような常時接続回線はないのです」

この方針はまったく驚くに当たらない。2015年にセキュリティ研究者はジープ・チェロキーに搭載されたコンピューター・システムを遠隔操作でハッキングし、人間が運転中にブレーキを無効にできることを実証した。この類の話を聞けば、ドライバーもメーカーも、コンピューターが運転する車がインターネットに接続されていたら、運転を全面的に車任せにはしたくなくなる。

Waymo's CEO, John Krafcik, doesn't want his cars to be hacked.
ウェイモのジョン・クラフチックCEOは自社の車をハッキングされたくない

ウェイモが自社製の車をオフラインにできるのは、ネットワーク接続のない車載コンピューターに重要なシステムがすべて格納されているからだ。システムは、人間のドライバーと同様、走行中の道路情報を読み取り、どう行動するかを決定するので、曲がり角にさしかかる度にクラウドからデータをダウンロードする必要はない。

BMWやアウディなど、一部のメーカーは車同士を通信させることや車に交通信号などの路上の公共物と通信させることまで計画している。実現すれば、たとえば情報に基づいて賢く他の車線に合流したり、ブレーキをかけるタイミングをより正確に予測したり、適切な速度で合流点に近づいたりできる。だが、それには常時接続のデータ通信も必要だ。

もちろん、インターネット接続された自動車も現在道路を走っている。たとえばテスラ車はインターネットに接続されているだけでなく、自動運転機能も備えている。MIT Technology Reviewのウィル・ナイト記者が説明しているとおり、イーロン・マスクが率いるテスラでは、車のさまざまな機能をそれぞれ個別のコンピューター・システムで制御することで、自動車のセキュリティを強化している。

だが、私たちがネット接続型機器の台頭から学んだのは、ハッカーは必ず欠陥を見つける機略に富んだ連中ということだ。最近、世界最大規模のコンピューター・セキュリティ・カンファレンスであるデフコンは、カーハッキングに特化したセクションを開催している。コンピューター・システムをバラバラに分離することはセキュリティ対策の第一歩だが、筋金入りのハッカーが脆弱性を見つける可能性はまだある。

したがって、今のところ、自動運転車がハッキングされうる問題は未解決のままだ。なるべく長い間、車をオフラインにするウェイモの単純な解決策は当面は有効だ。しかし、そのままではインターネットに接続できる車のメリットを活かせない。つまり、オフラインにして身を潜めるのではなく、ハッカーに正面から立ち向かってセキュリティを強化する他の手段を見つける必要があるのだ。

(関連記事:Financial Times, “Carmakers Accelerate Security Efforts after Hacking Stunts,” “Chatty Cars Are Getting Out on the Road,” “信号機メーカーに存続危機 アウディが車路間通信の新車”)

人気の記事ランキング
  1. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  2. Interview with Prof. Masayuki Ohzeki: The Future of Quantum Computer Commercialization and the Qualities of Innovators 量子技術を最速で社会へ、大関真之教授が考えるイノベーターの条件
  3. AI companies are finally being forced to cough up for training data 「訓練データはタダではない」音楽業界が問う生成AIの根本的問題
  4. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る