KADOKAWA Technology Review
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なぜ今「気候変動」なのか?グリーン・ニューディール立案者に聞く
Roosevelt Institute
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A Green New Deal architect explains how the protests and climate crisis are connected

なぜ今「気候変動」なのか?グリーン・ニューディール立案者に聞く

2020年に入って新型コロナウイルスのパンデミックや、人種差別に関する抗議活動が世界を席巻し、気候変動の問題は影を潜めてしまったかに思える。しかし、グリーン・ニューディール政策の立案者の1人であるリアナ・ガンライトは、これらの問題は複雑に絡み合っており、包括的に考える必要があると語る。 by James Temple2020.06.19

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや経済崩壊、警察の残虐行為に対する全国的な抗議活動が世間の関心を集める中、気候危機への対策を求める声がほとんど目立たなくなってしまっている。

しかし、ルーズベルト研究所(Roosevelt Institute)の気候政策研究主任であり、グリーン・ニューディール政策の立案者の一人であるリアナ・ガンライトによると、これらの問題は複雑に絡み合っているという。人種間の平等や経済的不平等、公衆衛生の観点から考えなければ化石燃料産業の実害を理解することはできないと、ガンライトはMITテクノロジーレビューの取材で述べている。

有色人種の方が発電所やその他の環境を汚染する工場の近くに住んでいることが多い。彼らのぜんそくの発症率は高く、大気汚染によって若くして亡くなるリスクも大きい。黒人米国人の新型コロナウイルスによる死亡率は、白人米国人の倍以上だ。地球温暖化と工場式農業はさらに致死率の高い病原体を放出し、感染症の領域を新たなものとするだろう。ガンライトは4月にニューヨーク・タイムズ紙の論説「パンデミックは最悪か? 別の危機も迫っている(Think This Pandemic Is Bad? We Have Another Crisis Coming)」でこのように主張した。

「有毒なガスで死亡する可能性が最も高い人々は、新型コロナウイルス感染症で死亡する可能性が最も高い人々と同じなのです」とガンライト主任は述べる。「まるで、気候危機によって起こり得る最悪の事態を目の当たりにしているかのようです」(同)。

グリーン・ニューディール政策に対する批判の1つに、あまりに多くの問題を取り上げすぎているというものがあった。この政策が取り組むとした諸問題はそれぞれ非常に偏っているため、1つの問題を改善することすら困難にしているというのだ。しかし、ガンライトは、この点がグリーン・ニューディール政策の強みであったと主張している。つまり、一見別々に思われるこれらの問題を1つの政策としてまとめることで問題の関係性が明らかになり、各問題の支援者をより幅広く連携させることに役立ったというのだ。

ガンライト主任は以下のインタビューで、2020年に起こったこと全てにより、こうした確信が一層強まったと語っている。

※以下のインタビューは、発言の趣旨を明確にするため、要約・編集されている。

——2020年についてどのように感じていますか?

かなり大きな問題提起ですね。2020年に対する私の感じ方は日によって変わるからです。さまざまな危機の規模だけで考えても、多くの面でこれまでずっと感じていなかったような恐ろしさを感じています。

私たちは今、大恐慌時よりもひどい深刻な不況に直面しています。それから、公衆衛生の問題も目の当たりにしています。また、明らかなことですが、白人至上主義と人種間の不平等を巡る問題が今まさに進行中で、さらに目立ってきています。もちろん、気候危機の問題にも直面しています。

ですが同時に、反乱や抗議活動が起こっているこの状況で、私はこれまで以上に希望を持っています。実際、政府の人々が皆、国民の満足のために働いているということを、人々に思い出させてくれているように感じるからです。

——抗議活動やそれに対する反応を見て、ご自身の考え、特に気候と環境の平等を巡る問題への取り組み方に関する考えはどのように変わりましたか?

今の状況が気づかせてくれたのは主として、私たちは …

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