KADOKAWA Technology Review
×
来れ、若きイノベーター! Innovators Under 35 Japan 2022 応募受付中!
英国、独自の接触者追跡アプリを捨てアップル/グーグル型に切替へ
AP
The UK is abandoning its current contact tracing app for Google and Apple’s system

英国、独自の接触者追跡アプリを捨てアップル/グーグル型に切替へ

英国は、新型コロナウイルスの接触者追跡にこれまで使っていた独自アプリの運用を中止し、アップルとグーグルの技術を利用するアプリに切り替える方針を明らかにした。 by Charlotte Jee2020.06.22

英国は、現在提供中の新型コロナウイルス接触者追跡アプリを捨て、新たにアップルとグーグルが共同開発したテクノロジー(API)をベースにしたアプリケーションを採用する予定だ。BBCが報じた。既存アプリは、5月半ばから全英に展開する予定で5月上旬にワイト島住民を対象にテスト運用されていたが、アイフォーン版で不具合が見つかっていた。

接触者追跡アプリの基本的な仕組みはどれも同じだ。2人の人(スマートフォン)が互いに長時間近づいたときにその記録を作成しておくことで、近距離で接触したことのある人が新型コロナウイルスと診断された場合に、該当者にアラートを送信する。英国の今回の方針転換は、ソフトウェアの完全な再設計ではなく切り替えであり、ユーザー・インターフェースは変更しないという。重要な違いは、アプリを非中央集権型にすることで、データを政府のサーバーにアップロードせず、ユーザーの携帯電話に保存するようになる点だ。

英国の中央集権的な手法には、プライバシーやセキュリティ、テクノロジー専門家から批判の声が上がっていた。常にフォアグラウンドで実行していないと機能しないということと、英国のデータ保護法に違反する可能性があるということがその理由だ。これまでのところ英国は、最近運用を開始した人手による接触者追跡プログラムのみに頼っている。しかし、ニューヨーク・タイムズ紙によると、それも問題に悩まされている。開始から3週間、接触者を1人も見つけられなかったケースがある一方で、誤ってイングランド地方の患者を北​​アイルランドの検査施設に送ろうとしたこともあった。

英国が運用を中止するアプリと、グーグルおよびアップルのモデルはどちらも、ブルートゥース(Bluetooth)信号に基づいて、誰がどれだけの時間、互いの近くにいるかを把握する。アイデアは単純だが、技術的には非常に複雑で難しい作業となる。壁や人の体、他の携帯電話からの干渉などによって信号が混乱する可能性があり、そうなればデータは役に立たなくなる。さらに、普及率の問題もある。接触者追跡アプリが有効に機能するために全員がアプリを使用する必要はないが、多くの人が使用するほど有用なものになる。

今回の決定には、数週間前から予兆があった。5月6日にはフィナンシャル・タイムズ紙が、英国の国民保健サービス(NHS)の局長がアップルおよびグーグルのシステムへの切り替えを調査する予定だと報じた。BBCによると、それ以来、英国の国民健康システムは両方のシステムを相互にテストしてきた。再設計されたアプリがイングランド地方で全員が利用できるようになる時期については、まだ何も発表されていない。スコットランド地方、ウェールズ地方、北アイルランドには独自の医療システムがあり、各地域が新たなアプリを採用するかどうかはまだ確認されていない。

(世界各国の取り組みについては「コビッド・トレーシング・トラッカー(Covid Tracing Tracker)」を参照)

関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. A million-word novel got censored before it was even shared. Now Chinese users want answers. 「この原稿は違法です」中国のワープロソフト、未公開小説をロック
  2. Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2022 IU35 Japan 2022候補者募集を開始、今年は医学/生物工学も対象
  3. Homophobic misinformation is making it harder to contain the spread of monkeypox 「サル痘」感染拡大でまた陰謀論、同性愛嫌悪の誤情報も拡散
  4. OpenAI is ready to sell DALL-E to its first million customers オープンAI、文章から画像を描く「DALL-E2」を100万人に提供
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. A million-word novel got censored before it was even shared. Now Chinese users want answers. 「この原稿は違法です」中国のワープロソフト、未公開小説をロック
  2. Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2022 IU35 Japan 2022候補者募集を開始、今年は医学/生物工学も対象
  3. Homophobic misinformation is making it harder to contain the spread of monkeypox 「サル痘」感染拡大でまた陰謀論、同性愛嫌悪の誤情報も拡散
  4. OpenAI is ready to sell DALL-E to its first million customers オープンAI、文章から画像を描く「DALL-E2」を100万人に提供
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.7
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.7世界を変える10大技術 2022年版

パンデミック収束の切り札として期待される「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)飲み薬」、アルファ碁の開発企業が作った「タンパク質構造予測AI」、究極のエネルギー技術として期待が高まる「実用的な核融合炉」など、2022年に最も注目すべきテクノロジー・トレンドを一挙解説。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る