KADOKAWA Technology Review
×
レディットが「トランプ板」を停止、ヘイト防止で厳しい措置相次ぐ
-
How Reddit kicked off a day of bans for Trump and the far right

レディットが「トランプ板」を停止、ヘイト防止で厳しい措置相次ぐ

米国の匿名掲示板のレディット(Reddit)はトランプ大統領の支持者が集っていたサブレディットを停止した。ヘイトや誹謗中傷的な書き込みが相次いでいるからだ。 by Abby Ohlheiser2020.07.01

レディット(Reddit)は6月29日、規則違反を繰り返したことを理由に、トランプ大統領の支持者が集まる悪名高いサブレディット(掲示板)である「r/The_Donald」を停止した。レディットのスティーブ・ハフマンCEO(最高経営責任者)は、レディット上でのヘイト行為や誹謗中傷の防止を目的とした規約変更を発表し、r/The_Donaldはレディットが禁止した2000のサブレディットの1つに過ぎないと述べた。

同様の動きが続いている。レディットの発表後、ライブストリーミング・サービスのツイッチ(Twitch)は、トランプ大統領が「ヘイト関連行為および嫌がらせ行為に関するポリシー 」を破り、メキシコ移民に関するコメントを再放送したとして、アカウントを一時凍結したと発表した。

一方、ユーチューブも白人至上主義者のデイビッド・デューク、リチャード・スペンサー、ステファン・モリニューなど、極右の人種差別的なクリエイター数人のアカウントを立て続けに停止している。

一連の動きの先駆けとなったのが、ツイッターとフェイスブックの方針変更だ。両社の方針変更は、トランプ大統領と極右関連アカウントのルール違反行為に対するプラットフォームの立場をシフトさせるきっかけとなった。r/The_Donaldはかつて、親トランプ派のネット利用者のコア組織として、過激派コンテンツを広く拡散する役割を担ったこともある。2016年後半にはこのサブレディットがアルゴリズムを利用して親トランプのコンテンツを拡散していることが明らかになり、レディットは制限を導入している。当時、r/The_Donaldのメンバーはピザゲート(ヒラリー・クリントンの関係者が人身売買や児童性的虐待に関与しているという陰謀論)の拡散に関わっており、有志のモデレーターらはr/The_Donaldのメンバーから受ける罵倒や嫌がらせにコミュニティが対抗できる策を導入するよう、ハフマンCEOに要求した。

ワシントンポストが指摘するように、r/The_Donaldは実際には数カ月前からほぼ休眠状態にあり、そのほかの停止されたサブレディットのほとんどが小規模または非アクティブの状態だ。だが、r/ChapoTrapHouseとその同名の左翼ポッドキャストや、6万人以上のメンバーを擁し、常にトランスフォビック(トランスジェンダー嫌悪)な見解を拡散していたサブレディット「r/gendercritical」など、特筆に値するものもいくつか含まれている。

今回の迅速な禁止と停止の連続は、2018年8月に陰謀論者のアレックス・ジョーンズが数日間にほとんどの主流ソーシャルメディア・サイトから閉め出されたことを彷彿とさせる。ジョーンズが運営していた「インフォウォーズ(Infowars)」のアクセスは結果的に大幅に低下し、オンライン・トラフィックモニターのシミラーウェブ(SimilarWeb)によると現時点でのトラフィックは2018年の約3分の1になっている。

人気の記事ランキング
  1. A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
  2. The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
  3. Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
  4. Geoffrey Hinton tells us why he’s now scared of the tech he helped build ジェフリー・ヒントン独白 「深層学習の父」はなぜ、 AIを恐れているのか?
アビー・オルハイザー [Abby Ohlheiser]米国版 デジタル・カルチャー担当上級編集者
インターネット・カルチャーを中心に取材。前職は、ワシントン・ポスト紙でデジタルライフを取材し、アトランティック・ワイヤー紙でスタッフ・ライター務めた。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る