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新型コロナ接触追跡アプリ、普及率「6割」未満でも効果あり
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Coronavirus tracing apps can save lives even with low adoption rates

新型コロナ接触追跡アプリ、普及率「6割」未満でも効果あり

新型コロナウイルスの接触追跡アプリは一般に、普及率が60%を超えないと感染拡大を抑える効果がないと「誤解」されている。だが、オックスフォード大学の新研究によって、普及の度合いが低くても患者数や死亡者数を減らすのに役立つことが示された。 by Patrick Howell O'Neill2020.10.07

これは、生死を分ける疑問だ。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に曝露された可能性があることを通知するアプリケーションは、命を救うのに役立つのか、それとも、貴重な時間とお金の無駄なのか。

オックスフォード大学とグーグルの新たな研究によると、普及率にかかわらず、接触追跡アプリの利用によって感染や入院、死亡の件数を減らせるという。同研究は、社会的距離の確保や手作業での接触追跡などの対策を補完するものとして、接触追跡アプリが役に立つことを示している。

「この研究で言いたいのは、接触追跡アプリは総合的な介入対策の一部であるということです」。オックスフォード大学ナフィールド医学部のロブ・ヒンチ上級研究員は話す。「普及の度合いが低かったとしても、重大な貢献をもたらすことができます。より大きな総合的な介入対策の主要な柱のひとつとして見ることが重要です」。

新型コロナウイルス接触追跡アプリはあらゆる普及水準において感染率を下げることを、オックスフォード大学のモデルは示している。

接触追跡と濃厚接触の可能性を通知するアプリを普及させることは、以前よりも遥かに容易になってきている。アップルとグーグルは先ごろ、各国の保健機関が独自のアプリを作らなくても、アイフォーン(iPhone)とアンドロイドで稼働する新型コロナウイルス接触追跡システムを使用できるようになったと発表した。アイフォーン・ユーザーは画面をタップするだけで使用できるようになり、アンドロイドではアプリが自動生成される(ユーザーによるダウンロードは必要)。追跡システムの採用率を向上させることを狙った動きであり、オックスフォード大学の研究チームは、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるのに十分な効果があるとの見方を示す。ただし、今回の論文は、まだ査読を受けていない。

研究チームは、アップルとグーグルの「曝露通知システム」の仕組みをより深く理解したうえで、数カ月にわたる新たなパンデミックのデータを用いてワシントン州の3つの郡をモデル化した。そして、シミュレーションを実行し、曝露通知システムが人口の15%から75%の人々にそれぞれ普及した場合の影響を推測した。75%の人々に普及した場合は、事実上、スマートフォン使用者のほぼ全員がこのシステムを使用していることになる。

これらのモデルによると、75%の人々が接触追跡アプリを使用すると、死亡者数を最大で78%、感染者数を81%減らせる可能性があるという。しかし、普及率が15%であっても死亡者数を11.8%、感染者数を15%減らせる可能性がある。300日間のモデルでは数千人の命が救われることになる。

論文の執筆者らは、これらのモデルによって、パンデミックと闘う際の接触追跡アプリの役割をはっきりさせたいと考えている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が初めて確認されてから10カ月間、この病気と闘うための科学技術を使った解決策は多数あった。しかし、それらの斬新な取り組みがどう機能するのか、あるいは機能するのかどうかさえ、ほとんど理解されてこなかった。

接触追跡アプリに関するこれまでの研究は、大きく歪めて伝えられてきた。2020年4月のオックスフォード大学による研究が誤解され、接触追跡アプリが効果を発揮するには「60%の普及率」が必須となると多くの人々が信じてしまった。このレベルの普及率を達成した国はなかったため、一般の人々の多くは、接触追跡アプリはすべて失敗だと決め込んでしまった。

実際には、4月の研究の結論は正反対だ。つまり、接触追跡アプリは普及率が低くても、社会的距離の確保、素早く効果的な検査、閉鎖、治療といった他の予防および封じ込め対策と組み合わせれば、人々の命を救うことができる。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが実施した先ごろの研究でも、同じような結論に達した。他の対策を補完する際に接触追跡アプリは効果的だという。

アイルランドやドイツなどの国々は、自国の接触追跡アプリを成功例だと考えている。両国とも同アプリの普及率は60%を下回る可能性が高いが、感染の連鎖を断ち切り、救われた命があることから成功と評価している。

「人口全体に対する接触追跡アプリの普及水準がいかなるものでも、英国と米国でアプリが感染、入院、死亡の件数を有意義に減らせる可能性があることが分かり、本当にうれしく思います」。オックスフォード大学公衆衛生学部のクリストフ・フレイザー教授は話す。

この新たな研究ではまた、手作業での接触追跡の影響も吟味された。結論としては、過去の研究と同様、最も効果的な戦略は介入対策を組み合わせるということだった。デジタル、そして手作業での接触追跡は、社会的距離の確保を補完する際に、一緒に実施することで最もよく機能する。結果として、隔離される患者が少なくなり、社会活動の安全な再開を早められる可能性がある。

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国家安全保障から個人のプライバシーまでをカバーする、サイバーセキュリティ・ジャーナリスト。
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