KADOKAWA Technology Review
×
AIはどこまで人と協働できるか、AIソング・コンテストの試み
Uncanny Valley via UNSW
人工知能(AI) 無料会員限定
To see what makes AI hard to use, ask it to write a pop song

AIはどこまで人と協働できるか、AIソング・コンテストの試み

近い将来における人工知能(AI)の有用性は、人間とAIがそれぞれの強みを生かしながら協働することによって得られると考えられている。しかし、少なくとも現時点では、人間とAIのコラボレーションが容易でないことは、「AIソング・コンテスト」の審査員や受賞者の声を聞けば明らかだ。 by Will Douglas Heaven2020.11.17

この「ビューティフル・ザ・ワールド」の歌詞は、決してキャッチーなものではない。だが、5、6回聴いた後にはコーラスが私の頭にこびりつき、床を足でトントン踏み鳴らしていた。「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)」の歌や、コアラやワライカワセミの鳴き声のデータセットで訓練された人工知能(AI)が生成したメロディにしては悪くない。

ビューティフル・ザ・ワールドは、オランダの放送局であるVPROが今年5月に開催したAIソング・コンテストで優勝した楽曲だ。同コンテストでは世界中から13チームが出場し、AIの助けを借りてポピュラーなヒットソングの作成を試みた。

ビューティフル・ザ・ワールドを作ったのは、「アンカニー・バレー(Uncanny Valley、「不気味の谷」という意味)」というオーストラリア出身の音楽家とコンピューター科学者のチームだ。人間による作詞・作曲とAIの助けの両方を利用している。「彼らの音楽にはわくわくしました」。グーグルブレイン(Google Brain)のAI研究者で、コンテストの審査員の1人を務めたアンナ・ファン博士は言う。「ハイブリッドな取り組みがとても輝いていましたね」

https://www.youtube.com/watch?v=sAzULywAHUM

近い将来におけるAIの有用性は、人間と機械のチームが互いにそれぞれの強みを生かしながら協働するコラボレーションによって生まれると、多くの人が考えている。「AIは時には補助者、単なる道具になることがあります」。グーグルブレインのファン博士の同僚で、人間とコンピューターの相互作用を研究しているキャリー・カイ博士は話す。「あるいは、AIは協力者や、同じ部屋にいるもう一人の作曲家にもなれます。AIは人の能力を向上させ、強力な力を与えること …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る