KADOKAWA Technology Review
×
MITTRが選ぶ35歳未満のイノベーター「IU35 2024 Japan」発表!
11/20授賞式開催決定
バイデン次期政権、ケリー元国務長官を「気候特使」に任命
AP Photo/Andrew Harnik
Biden names John Kerry climate czar, in a recommitment to global cooperation

バイデン次期政権、ケリー元国務長官を「気候特使」に任命

バイデン次期政権は、気候変動担当の大統領特使を新たに設置し、ジョン・ケリー元国務長官を任命したことを11月23日に発表した。ケリー元国務長官はパリ協定を推進した米外交の重鎮であり、同協定からの離脱を発表したトランプ政権からは180度の転換となる。 by James Temple2020.11.30

ジョー・バイデン次期大統領が、新たに設けられた気候変動担当の大統領特使にジョン・ケリー元国務長官を任命した。次期政権が気候問題に対して国際協調を重視していることや、その戦略的な重要性を認識していることを明確に示す人事だ。

ケリー元国務長官は米国の外交を担ってきた大物政治家である。オバマ政権時代には画期的なパリ気候協定をまとめるのに一役買い、上院議員として国内の気候政策強力に推進した

「我々が直面している最も喫緊の国家安全保障上の脅威の1つである気候危機に、米国が再び対処するため、ケリー元国務長官に政府への復帰をお願いしました」とバイデン次期大統領は11月23日の声明の中で述べた。「こうした役職は初めてのものであり、閣僚レベルでは初の気候担当となります。気候変動担当者の席が初めて国家安全保障会議の場に設けられることになります」(同)。

「気候担当大統領特使」としてのケリー元国務長官の任命は、バイデン次期大統領の政権移行チームが11月23日に発表した6つの閣僚レベル人事の中でも最初の方に発表された。ドナルド・トランプ大統領は選挙結果を受け入れようとしていないが、政権移行チームは政権発足を目指している。一部の閣僚人事とは異なり、気候担当大統領特使に上院の承認は必要ないとニューヨーク・タイムズは報じている

バイデン次期大統領が選挙期間中に示した意欲的な気候政策と相まって、11月23日の人事は気候変動に対する米国の新たな取り組みを示すものであり、トランプ大統領の政策から180度の転換となる。トランプ政権はパリ協定から離脱し、環境保護にほころびを生じさせ、米国の国際協調体制を常に歪ませてきた。

コロンビア大学の世界エネルギー政策センター(Center on Global Energy Policy)のヴァルン・シヴァラム上級研究員は、今回の人事は、気候変動を国家安全保障および外交政策の中心に据える次期大統領の意思を示すものだとツイートした。シヴァラム上級研究員はさらに、新政権が気候変動の脅威を認識し、国際協力によって対処していくことを、同盟国と敵国の双方に示していると付け加えた。

人気の記事ランキング
  1. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  2. Kids are learning how to make their own little language models 作って学ぶ生成AIモデルの仕組み、MITが子ども向け新アプリ
  3. AI will add to the e-waste problem. Here’s what we can do about it. 30年までに最大500万トン、生成AIブームで大量の電子廃棄物
  4. This AI system makes human tutors better at teaching children math 生成AIで個別指導の質向上、教育格差に挑むスタンフォード新ツール
ジェームス・テンプル [James Temple]米国版 エネルギー担当上級編集者
MITテクノロジーレビュー[米国版]のエネルギー担当上級編集者です。特に再生可能エネルギーと気候変動に対処するテクノロジーの取材に取り組んでいます。前職ではバージ(The Verge)の上級ディレクターを務めており、それ以前はリコード(Recode)の編集長代理、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニストでした。エネルギーや気候変動の記事を書いていないときは、よく犬の散歩かカリフォルニアの景色をビデオ撮影しています。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る