リュウグウの岩石サンプルが無事帰還、JAXAで分析へ
宇宙探査機「はやぶさ2」が地球からおよそ2億9000万キロメートル離れた小惑星「リュウグウ」から採取した岩石サンプルは、12月6日に無事、地球に帰還した。サンプルは12月8日にJAXA相模原キャンパスに到着しており、太陽系がいかにして形成されたのかを明らかにするための分析が始められる。 by Charlotte Jee2020.12.14
小惑星「リュウグウ」から採取した初の岩石サンプルを運ぶカプセルは12月6日に、「完璧」な状態で地球に帰還した。
今回のサンプルは、6年前にミッションを開始した日本の宇宙探査機「はやぶさ2」が、地球からおよそ2億9000万キロメートル離れた小惑星「リュウグウ」から採取したものだ。地球付近に到着したはやぶさ2が投下したカプセルは、高速で大気圏を通過した後、パラシュートを展開した。約0.1グラムの岩石と塵を運ぶ重さ16キログラムのカプセルは、南オーストラリア州のウーメラに、現地時間12月6日4時37分に無事着陸し、まもなく日本の宇宙機関である宇宙航空研究開発機構(JAXA)が率いるチームによって回収された。
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小惑星のサンプルが地球に到着したのはこれが史上2例目となる。最初のサンプルは初代「はやぶさ」が採取したものだったが、回収できたのはわずか数マイクログラムの小惑星の塵のみだった。今回のサンプルにより、地球のように居住可能な惑星の存在をはじめとする、太陽系の形成に関する研究者の理解が向上することが期待される。
小惑星は、惑星に比べて時間の経過による物理的、化学的組成が変化しにくく、遥かに良い状態で保持されているため、古代宇宙の歴史を示すタイムカプセルのような存在だ。リュウグウはまた、隕石の衝突によってどのような元素や化合物が地球にもたらされたのかを知る手がかりになるだろう。貴重な積荷を投下したはやぶさ2は再びエンジンを点火し、2026年7月に予定されている小惑星「2001 CC21」のフライバイ探査、2031年7月に予定されている小惑星「1998 KY26」とのランデブーに向けて航行中だ。
カプセルは日本に輸送され、小惑星の物質がどれだけの量、回収できたのか正確な数字が明らかになる(日本版注:カプセルは12月8日にJAXA相模原キャンパスに到着した)。研究者らは、そのサンプルからどんな手がかりが得られるのか分析を開始することになる。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。