KADOKAWA Technology Review
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Military Program Produces Gadget That Detects Machinery from Behind a Concrete Wall

英軍研究所、磁場の変化でビル内を透視する装置を開発

英国の研究者が開発した装置は、電気モーターや燃焼エンジン、扇風機(コンピューター内蔵のファン含む)が作り出す磁場の変化を検知する。 by Emerging Technology from the arXiv2017.01.24

英国防衛科学技術研究所(DSTL)の本部は、イングランド南西の古代遺跡ストーンヘンジからそう遠くない、ポートンダウンにある立ち入り制限の厳しい軍事基地にある。DSTLは英国国防省の研究開発部門であり、国の防衛と安全保障のために、科学とテクノロジーの革新的な使用方法を見つけるのが任務だ。

多くの軍事研究開発組織と同様、国家を脅かす脅威が進化するにつれて、DSTLの任務は近年変化してきた。2015年、DSTLは「あのビルの中に何がある?」という風変わりなプロジェクトを開始したのだ。

プロジェクトの目標は「ビル内の配置や状況についての情報を外側から提供する斬新な手法」を開発することだった。たとえば、ビルに突入する前に、内部の構造(壁や家具、電気製品等)を明らかにし、ビル内にいる人の数や、何をしているかを探り出し、密造等を検知するのだ。

さて、2年経った現在、プロジェクトはどんな斬新なテクノロジーを開発しただろうか?

1月23日、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのルカ・マルムギ研究員のチームにより、その一端が判明した。「あのビルの中には何がある?」プロジェクトから資金を受けた研究チームは、電気モーターや燃焼エンジン、エアコン、扇風機(コンピューター内のファンを含む)などを検知できる持ち運び可能な装置を開発したのだ。しかもこれら全てをコンクリート壁の向こう側から、こっそりと検出できる。離れた場所から、回転する機械を全て検知できるのだ。

新装置の仕組みは単純だ。金属が回転すると、たとえ小さくても、一定の速度で変化する磁場が発生する。したがって、変化する磁場を検知できれば、回転する金属を検知できるはずだ。

研究チームは、原子磁力計によって、金属の回転を検出できることを証明した。検出装置内部では多数のルビジウム原子が、装置が生成する継続的な磁場により原子の回転が整うようにレーザー光線を照射されている。

外的な変化する磁場があると、整列された原子の回転が「揺れ動く」、あるいはコマのようにゆらゆらと動く。このとき、原子が放出する光によって、原子の動きを検知できるのだ。

装置は室温で機能し、遮蔽の必要はない。大きさはスーツケースほどで、さらに大幅に小型化できる可能性が高い。

研究チームは、コインほどの大きさまで、さまざまなサイズの回転するスチール製円盤を検知したり、コンピューターのファンを稼働させるような小型の交直流電気モーターを検知したりして、この装置の性能を試した。さまざまな回転数で実験した研究チームによれば、この装置は他の方法で検知できない15Hz以下の低周波数を検知するのに適しているという。また研究チームは、パイプやワイヤーが入った分厚いコンクリート壁を通しても回転を検出できることを証明した。

研究チームは成果に満足し、大幅な改良も簡単だとしている。「現在の研究の原理証明の性質を考え、また原子磁力計に関する文献で報告されているデータを考慮すると、検知能力と幅がさらに進歩する大きな可能性を秘めていることが予期できます」という。

この研究は数多くの使い道があり、興味深い。「この手法は、安全と監視のための無害で不侵略的、非破壊的な遠隔感知であるだけではなく、民間の製造工程や健康、回転物の保守・点検等にも使えます」

こうして「あのビルの中には何がある?」プロジェクトは成果を出し始めた。今後の進捗に注目したい。もし、プロジェクトの中にどんな成果がある?が公開されればだが。

参照:arxiv.org/abs/1701.05385:持ち運び可能な原子磁力計による回転する機械の遠隔検知

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