KADOKAWA Technology Review
×
中国「嫦娥5号」が月の石の持ち帰りに成功、44年ぶり
CNSA
China just brought moon rocks back to Earth for the first time in 44 years

中国「嫦娥5号」が月の石の持ち帰りに成功、44年ぶり

中国の月探査ミッション「嫦娥(じょうが)5号」は12月17日、月の岩石と塵を地球に持ち帰ることに成功した。中国の月探査計画である「嫦娥計画」はこれまで成功を続けており、将来のより大掛かりな月探査計画の基礎を構築している。 by Neel V. Patel2020.12.18

中国の「嫦娥(じょうが、Chang’e)5号」ミッションは2020年12月17日、月の岩石と塵の試料を地球に持ち帰ることに成功した。月の岩石が地球に持ち帰られるのは1976年の旧ソ連の「ルナ(Luna)24号」ミッション以来、44年ぶりとなる。また、今回は中国にとって初めてのサンプルリターン・ミッションの成功となった。

試料の入ったカプセルは、現地時間12月17日の午前2時過ぎに内モンゴル自治区に着陸した。トラックとヘリコプターで現地入りしたカプセル回収班は、すぐに着陸点を見つけてサンプルコンテナを回収した。

カプセル着陸は、11月23日に南シナ海の海南島の発射場から嫦娥5号を打ち上げてから23日間にわたるミッションの集大成である。発射から8日後の12月1日、 嫦娥5号の着陸機は月面に着くとすぐに採掘を開始し、地中と地表の両方から月の物質を採取した。少なくとも約2キログラムの物質を採取し、地球に持ち帰ることが目標であった。

12月6日、試料は上昇機に収容され、周回機に運ばれた。12月13日、帰還カプセルが地球に向かい、12月17日、ついに研究用の新たな月の岩石が地球に到着した。

米国がアポロ計画で持ち帰った岩石の年代は約30億年から40億年前と推定されているが、嫦娥5号が採取した物質は、月の表側の北西に位置する「リュムケル山(Mons Rümker)」付近のものだ。このエリアが形成されたのはもっと最近であり、岩石の年代はたった12億年ほど前だと考えられている。中国が今回のミッションで持ち帰った物質により、科学者たちは月の進化についてより多くのことを学び、他の惑星、衛星、小惑星からの地質試料の年代推定のための新手法を試せるだろう。

中国の月探査計画である「嫦娥計画」は、月の裏側に着陸した探査機「嫦娥4号」および探査車「玉兔(ぎょくと、Yutu)2号」を含めて非常に成功している。嫦娥5号は短期間のミッションであったが、これまで中国の宇宙開発で手掛けたプロジェクトのうち最も複雑なものの1つであった。中国の月探査計画は、これからも続く。月のサンプルリターンミッション第2弾「嫦娥6号」は、2023年か2024年の打ち上げを予定している。

人気の記事ランキング
  1. How to talk to vaccine-hesitant people 「陰謀論者」で片付けない、ワクチン未接種者との対話のヒント
  2. What are the ingredients of Pfizer’s covid-19 vaccine? ファイザーの新型コロナワクチンの成分は?専門家が解説
ニール・V・パテル [Neel V. Patel]米国版 宇宙担当記者
MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。地球外で起こっているすべてのことを扱うニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」の執筆も担当している。MITテクノロジーレビュー入社前は、フリーランスの科学技術ジャーナリストとして、ポピュラー・サイエンス(Popular Science)、デイリー・ビースト(The Daily Beast)、スレート(Slate)、ワイアード(Wired)、ヴァージ(the Verge)などに寄稿。独立前は、インバース(Inverse)の准編集者として、宇宙報道の強化をリードした。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35 」の日本版が候補者を募集している。特定の分野や業界だけでなく、世界全体の重要な課題を解決するイノベーターを発信していく。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. How to talk to vaccine-hesitant people 「陰謀論者」で片付けない、ワクチン未接種者との対話のヒント
  2. What are the ingredients of Pfizer’s covid-19 vaccine? ファイザーの新型コロナワクチンの成分は?専門家が解説
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.4/Summer 2021
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.4/Summer 202110 Breakthrough Technologies

新型コロナウイルス・ワクチンの開発で脚光を浴びた「メッセンジャーRNA」技術から、人間並みの文章を自在に生成できる人工知能(AI)技術「GPT-3」、電気自動車(EV)普及の鍵を握る「次世代バッテリー」まで。MITテクノロジーレビューが選んだ「世界を変える10大テクノロジー」。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る